地域と市民をつなぐ新たな試み「AI-COARA」
大分市で、地域社会に開かれた実名のAI電子会議システム「AI-COARA」が開発されることが決定しました。これはNPO法人NPO観光コアラの主導により、鬼塚電気工事株式会社ハート事業部の技術支援を受け、2025年12月23日に公開される予定です。
「AI-COARA」は、一般的なAI会議ツールやSNSとは一線を画し、参加者が実名で自由に意見を交わすことができるいわゆる地域オープン型の電子会議システムです。このシステムでは、生成AIがモデレーターとして機能する点が特徴で、会議室に常駐しています。
AIが対話を支える
AI-COARAにおいて、AIのクロスオーバーキャラクター「AIコアラちゃん」がモデレーターを担当し、参加者同士の対話を支える役割を持ちます。AIコアラちゃんの具体的な機能は以下の通りです。
- - 発言の要約: 各参加者の意見をスムーズに把握し、要約して整理します。
- - 情報の提供: 過去の関連情報や投稿を検索し、議論を深める手助けをします。
- - 文章作成支援: 投稿内容の作成や整理をサポートします。
このように、AIが「裏方」としての役割を果たすことで、対話の質を向上させ、大人数での効率的なコミュニケーションが可能となります。
実名制を重視した地域参加
「AI-COARA」は、参加者が実名で参加することを基本としており、これによって「誰が何を考えているのか」を可視化します。この開放性は、地域の合意形成や知識の共有を促進し、より透明な運営を目指しています。特に、1980年代から続く大分での情報化活動「COARA」の哲学を受け継いでいる点に注目です。
AI事務局長の存在
「AI-COARA」には、過去の地域活動に関する情報を蓄えた「AI事務局長」が設けられており、参加者からの質問に対し、過去の活動の経緯や重要な資料をもとに回答します。例えば、「COARAとは何か?」や「大分が情報化の先進地となった理由」について、歴史的な文脈を理解することができます。このような形式で、地域活動の記録を単なる保存物ではなく、質問できる知識に変えて次世代に活かすことを目指しています。
理論から実践へ
このプロジェクトは、単なる思いつきではなく、情報社会学における理論的な裏付けがあります。「ビジョン駆動型コレクティブ・インパクト」という査読論文において、生成AIを組み込んだ市民参加型の電子会議システムが必要であることが記されており、その実現を地域で行う試みが「AI-COARA」です。理論と実践、そしてその結果の検証がこのシステムの成功を支える基盤となる予定です。
今後の展望
鬼塚電気工事株式会社 ハート事業部は、AI-COARAでの技術を活かし、地域団体や企業、教育機関などに対して生成AIを配した電子会議システムの構築や提供を進める考えです。また、AIを利用して企業の意思決定情報を整理するための取り組みも進行中で、AI-COARAはその一環と位置づけています。
サービス概要
- - サービス名: AI-COARA(エーアイ・コアラ)
- - 公開日: 2025年12月23日
- - 運営: NPO法人 NPO観光コアラ
- - 参加条件: 実名登録 (誰でも参加可能)
- - 利用料金: 無料(予定)
- - 技術支援: 鬼塚電気工事株式会社 ハート事業部
この新たなAI電子会議システムは、地域社会の未来に大きな影響を与えることが期待されており、多くの人々が参加し、新たな対話の場を模索することでしょう。