日韓のステーブルコイン共同研究がスタート
日本円ステーブルコイン「JPYC」を提供するJPYC株式会社は、韓国の大手IT企業ITCENGLOBAL社との間でステーブルコイン分野における共同研究を開始したことを発表しました。この取り組みは、日韓間のデジタル資産の発展に向けた新たな展望を提供すると期待されています。
共同研究の背景
各国でデジタル資産、特にステーブルコインに関する制度が整備される中、日本では法的枠組みが確立され、実運用に向けた動きが具体化しています。一方韓国も、ステーブルコインや実物資産を裏付けとしたRWA(Real World Assets)への関心が高まりつつあり、政府や関連機関からの議論が活発になっています。
最近では、韓国の与党が「デジタル資産基本法」の制定を目指しており、金融委員会の報告を元に本格的な議論が進められています。韓国におけるこうした動きは、アジア全体におけるデジタル金融の進展を促進する重要なものです。
日本が制度化された経験を持つ一方で、韓国は新たな政策を模索している現在、両国のさまざまなプレイヤーが経験や知見を共有することは大きな意義を持ちます。法律や運用に関する視点での情報交換は、健全なステーブルコイン活用のための示唆をもたらすことでしょう。
この共同研究においては、日韓の専門家および実務者が一堂に会し、ステーブルコインに関する制度的な視点や実務上の課題について活発に議論を行います。また、RWAに関連する金などのデジタル資産に関する研究も行い、アジア地域でのステーブルコインおよびデジタル資産の持続的な発展や国際連携の可能性を探ります。
ITCENGLOBALについて
ITCENGLOBAL社は2005年に設立され、韓国で大規模なITグループとして知られています。年間売上は約5兆ウォンで、システムインテグレーションビジネスを中心に多岐にわたるITソリューションやコンサルティング、投資事業を展開しています。また、子会社Kordaでは金をRWAとして扱うブロックチェーン事業にも力を入れており、デジタル資産分野での存在感を強めています。
日本でも、Kordaは日本のRWAやSTO領域での事業展開を開始しています。
JPYC株式会社の紹介
JPYC株式会社は2019年に設立され、日本円建のステーブルコイン「JPYC」を中心とした事業を行っています。従来の前払式支払手段に加え、資金移動業者の登録を受け、日本円建のステーブルコインを国内外で展開しています。その透明性や低コストな送金という特性を活かし、デジタル金融イノベーションを推進しています。
JPYCは日本円と1:1で交換可能であり、裏付け資産は日本円や国債によって保全されています。さらに、Avalanche、Ethereum、Polygonの3つのチェーンで発行され、幅広い用途に対応することが期待されています。
今後、JPYCは給与や報酬としての受け取りや、ATMからの現金引き出しなど、多様なユースケースを持つことが見込まれており、未来の金融インフラとしての役割が期待されています。
このように、日韓のデジタル資産分野における共同研究は、両国の知見を活用し、相互理解を深めることで、新たなビジネスチャンスを創造する価値のある取り組みと言えるでしょう。