需要予測で食品ロス削減へ、シノプスの新戦略とは?
株式会社シノプスは、青果物の発注業務を効率화し、食品ロスを削減するために、需要予測型自動発注システム「sinops-R」を導入した実証実験を行いました。この取り組みは、同社が西日本で展開するドラッグストアと協力し、農林水産省の補助事業として実施されます。
背景
青果物は鮮度が重要であり、日々の発注作業には高いスキルが求められます。しかしながら、小売業の人手不足や過酷な物流条件が影響し、発注から納品までのリードタイムの短さが物流の非効率性を引き起こしています。これにより、食品ロスが増加し、業務の効率化が妨げられています。
従来の自動発注システムは過去のデータに基づくものでしたが、青果物は市場価格の変動が大きいため、需要予測が困難な状況です。この問題を解決しようとシノプスが立ち上がったのです。
実証実験の概要
シノプスが提案する実証実験では、「sinops-R」に青果用の需要予測ロジックを追加しました。このシステムは、実証実験を通じて青果物の発注における正確性を高め、結果として食品ロスの削減と業務の効率化を図ります。ここでは、青果物の需要予測と自動発注の実施方法について説明します。
実証1:青果の需要予測・自動発注
この実証では、指定された店舗で青果15商品の需要予測を行い、自動発注を実施します。実施期間は2024年11月から2025年2月を見込んでおり、発注作業の増加を抑えながら、発注時間を50%削減し、食品ロスを25%削減することを目標としています。
実証2:物流改善に向けた需要予測の利用
物流改善を目指し、仲卸業者と連携して3つのシナリオを実施しました。
- - シナリオ1:納品リードタイムを2日から4日に延長し、作業計画を最適化。これにより、仲卸の作業負担を46%削減。
- - シナリオ2:発注数を事前に提示することで、物流効率を改善し、40%の作業負荷軽減を見込む。
- - シナリオ3:納品時間を変更してトラックの積載効率を高め、47%のトラック台数削減を達成。
今後の展開
シノプスは実証実験の成果を基に、トラック配送を30%削減し、流通過程の所要時間を30%超削減する目標を設定しました。この取り組みを通じて、青果流通の効率化を進め、持続可能な社会の実現に貢献していく意向を示しています。
株式会社シノプスについて
シノプスは「世界中の無駄を10%削減する」を目指しており、需要予測型自動発注システムを中心に、食品ロス削減に向けた技術を提供。今後も食品小売業界の効率化を進めていくことで期待される存在です。日本の物流業界の未来に向けた重要な取り組みとして、注目が集まります。