JALグループが取り組む顧客体験向上
日本航空株式会社(以下、JALグループ)は、CX改善プラットフォーム「Sprocket」を導入し、顧客体験の向上に向けた取り組みを進めています。このプラットフォームは、デジタル領域での顧客の声をリアルタイムで分析し、柔軟に対応することで、顧客の体験をシームレスに向上させる事を目指しています。
世界で選ばれるエアライングループを目指して
JALグループは、「世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループ」を目指しており、その一環として「2021-2025年度JALグループ中期経営計画」を策定しています。この計画において、事業横断的な顧客体験価値の向上を重視しており、その担当として2021年にCX本部を発足させました。この本部の中でも、顧客チャネル企画部はデジタルチャネルの機能強化を中心に取り組んでいます。
デジタルチャネルの課題と解決策
JALグループは、デジタルチャネルでの顧客体験を向上させるために、3つの主要な課題に直面しました。1つ目は「Webサイトの情報過多や複雑さ」、2つ目は「システム改修に要する時間と労力」、最後は「コロナ収束後の訪問者数の急増」です。これらの課題解決に向けて、Sprocketを導入。このプラットフォーム導入により、お客様の要望やデジタル行動が包括的に分析でき、リアルタイムでの情報提供が可能になりました。
航空券予約やツアー領域での取り組み
特に「航空券予約」「国内・海外ツアー」「JALMall」「JALカード」といった各デジタル領域において、JALグループは顧客のつまずきポイントの改善に取り組んでいます。たとえば、国内・海外ツアーの販売においては、発売情報の伝達不足や検索エラーの増加といった課題がありました。これらを克服するため、特に旅行出発日やホテル条件の指定時に、発売情報を明示するメッセージを導入し、検索エラーを減少させています。
また、航空券予約領域では、顧客の行動を分析し、ヒートマップとして情報を可視化することに努めています。この結果、つまずきポイントの特定が可能になり、さらなる改善策へとつながっています。
コスト削減と迅速な対応
CX本部の下川朋美氏は、システム改修に比べてSprocketの導入によって顕著なコスト削減と迅速な対応が実現されたと述べています。従来の方法では、予約システムなどの修正にITチームを介入させる必要があり、その完了までに数か月かかっていました。しかし、Sprocket導入後は、簡単な修正であれば1~2週間で実装が可能となり、業務効率が大幅に向上しました。
まとめ
Sprocketは、MA、CDP、BIなどの機能を備えたCX改善プラットフォームであり、顧客ごとのニーズに応じたコミュニケーションを実現し、顧客体験全体の最適化を目指しています。JALグループのこれらの取り組みは、デジタル環境での顧客体験を向上させ、最終的には顧客満足度の向上に寄与しています。今後もJALグループがどのような進展を遂げるのか、注目が集まります。