三重県志摩の歴史を背負う「里海循環」日本酒プロジェクトの挑戦
三重県志摩市の有限会社佐藤養殖場が、新たな日本酒プロジェクト「里海循環」に取り組んでいます。これは、海の恵みである牡蠣殻を再利用し、酒米を栽培して日本酒を醸造するという、地域の資源を循環させる持続可能なモデルです。このプロジェクトはG7伊勢志摩サミットの乾杯酒を手掛けた大田酒造や地元の稲作農家と連携し、自然環境への感謝と共に新たな挑戦を展開しています。
プロジェクトの背景
佐藤養殖場は、大正14年に創業した「的矢かき」の養殖場で、美味しく安全な牡蠣の生産に100年近く取り組んできました。時代の流れと共に、地域では海の環境変化や過疎化、また牡蠣殻の再利用といった課題が顕在化しています。このような中、海の恵みをより有効に活用して地域に還元できる方法を模索した結果、このプロジェクトが誕生しました。
里海循環の仕組み
このプロジェクトは、牡蠣殻を肥料として再活用し、地域の水産業、農業、酒造業を連携させる新たなモデルです。
1.
水産業(佐藤養殖場): 牡蠣を養殖する過程で発生する牡蠣殻をパウダー状に加工し肥料として提供。
2.
農業(前田俊基氏): この牡蠣殻肥料を用いて、三重県産の酒米「神の穂」を栽培し、ミネラルが豊富な稲を育成します。
3.
酒造業(大田酒造): 収穫された「神の穂」を使用して日本酒を醸造します。この取り組みにより、海の栄養が反映された独自の味わいを持つ日本酒が生まれます。
このプロジェクトの目指すところは単なる酒の製造ではなく、海の保護と地域の自然環境を次世代に引き継ぐ持続可能な産業のモデルを確立することです。
大田酒造との連携
プロジェクトの醸造を手掛けるのは、1892年創業の「大田酒造」。同社の代表銘柄『半蔵』は2016年のG7サミットで選ばれ、世界に名を馳せました。蔵元杜氏の大田有輝氏は、牡蠣殻由来の米の可能性を最大限に引き出し、Qualityを追求します。彼はこのプロジェクトの理念に強く共鳴し、新しいテロワールに挑む意欲を示しています。
クラウドファンディングへの挑戦
プロジェクトの実現に向け、2025年11月7日からクラウドファンディングを開始する予定です。目標金額は300万円で、資金は酒米や肥料の試験栽培、醸造のために用いられます。
佐藤養殖場の想い
代表取締役の濱地大規氏は、志摩の地で海女の伝統を大切にしながら、新しい循環の仕組みを作ることを目指しています。このプロジェクトへの協力を通じて、次の100年に向けた持続可能な未来を作り出す意義を感じているとのことです。
私たちが取組む『里海循環』を通じて、多くの人々にその魅力を伝えたいと思います。これを応援することで、地域の新たな価値作りに参加することができます。ぜひ、皆様のご支援をお願いいたします。