新たなバイオ医薬品研究の扉を開くEDT技術
リガク・ホールディングスのグループ会社である株式会社リガクが、溶液中の生体高分子の構造やその動きを直接観察できる新技術「Electron Density Topography(EDT)」を開発しました。この技術の導入により、バイオ医薬品の研究や開発がさらに加速すると期待されています。
EDT技術の魅力とは
EDTでは、試料を固定化したり凍結させたりする必要がなく、分子が機能する状態にあるまま観察が可能です。これにより、実際の体内に近い環境での生体高分子の特性が明らかになり、より信頼性の高いデータを得ることができます。また、従来の方法では得られなかった精細な内部構造情報や電子密度像を直接観察できる点も大きなメリットです。
抗体医薬などへの応用
EDT技術は、創薬の初期段階において期待する構造や特性を持つ薬剤かどうかを検証する上で非常に重要な役割を果たします。特に、抗原抗体複合体の直接的なエピトープマッピングや、ウイルス粒子のタンパク質・核酸の比定量分析が可能であり、バイオ医薬品の開発において革新をもたらすでしょう。これらの機能は、より効率的かつ早期の研究開発を可能にし、結果として新しい医薬品の市場投入を迅速化すると考えられています。
ライフサイエンス分野での未来
リガクは2024年中に、EDT技術を搭載した装置をボストンエリアのライフサイエンスラボで導入する予定です。この技術の普及は、今後のライフサイエンス研究における基盤を築くものであり、リガクはこれを機にさらに事業を拡大していく見込みです。
リガクグループの歴史とビジョン
リガクグループは、1951年の創業以来、最先端の分析技術を提供するリーディングカンパニーです。日本国内での高いシェアを誇る一方で、海外市場でも約70%の売上を達成しています。リガクグループは、半導体やライフサイエンスを含む広範な応用分野でイノベーションを追求しており、現在2,000人を超える従業員がこのビジョンの実現に向けて努力しています。
新技術EDTの導入により、リガクはライフサイエンス分野におけるプレゼンスを一層強化し、顧客のイノベーションを共に実現していく意向です。今後の展開に期待が寄せられています。