感染症予防に特化した仮設トイレ、世界の衛生環境を改善目指す
近年、特に災害時や公共のイベントで、安全なトイレ環境の重要性が高まっています。これに応えるべく、インプルーブエナジー株式会社が開発した「感染予防型仮設トイレ」は、独自の技術を駆使し、機能性と安全性を兼ね備えています。このトイレの最大の特徴は、マイナスイオンと低濃度オゾンを活用し、嫌な臭いや危険な細菌を不活性化する点です。
特許出願の背景
2023年、金沢大学名誉教授でイグ・ノーベル賞受賞者の廣瀬幸雄教授と共に開発が進められてきたこの仮設トイレは、2025年3月7日に国際特許を出願しました。特許出願番号はPCT/JP2025/008519です。このトイレは、特に防災や感染症対策としての効果を発揮しており、2024年の能登半島地震の際には150基以上が無償で配布され、現場でその効果が検証されました。
独自のオドレスファイ方式
「オドレスファイ方式」と名付けられたこの技術は、簡単に言うと「臭いを無くす」手法です。マイナスイオンが放出されることで、トイレ内の空気は清浄に保たれ、低濃度オゾンによる消毒が施されます。これにより、従来の化学薬品では対応しきれなかったウイルスや細菌も効果的に除去が可能です。
主な機能
1.
マイナスイオン発生装置:この装置によってトイレ内が無臭化されるだけでなく、菌を安全に殺菌します。
2.
オゾン分解機能:オゾンが便槽内の菌に作用し、臭いや感染源を根本から解消します。
3.
シリコンフラッパー:これにより、密閉性が向上し、臭いの逆流を防ぎます。
4.
自動水洗機能:画期的な節水設計で、自動で水を流し、菌の増殖を防ぎます。ボタンひとつで操作でき、誰でも安全に利用可能です。
この特許技術による電力消費はわずか3Wで、電源が無い場所でもポータブル電源を使用することで対応できます。
妊婦や子どもにも優しいトイレ
特に、低い力での操作が可能な自動水洗機能は、子どもや高齢者にとっても安全な使用を提供します。令和4年の震災影響下では、このトイレが実際に無臭であることが証明され、一般社団法人日本トイレ協会の「JTAトイレ賞」でも評価されました。ここで受賞した『一般投票賞』は、広くその効果を認められた結果です。
途上国展開の重要性
安全なトイレの不足は、途上国において大きな問題であり、毎年衛生環境が原因で約50万人が亡くなっています。特に5歳未満の子供が多くの命を落としている現実があります。この「感染予防型仮設トイレ」は、そんな衛生環境を改善し、未来の世代を守るためのプロジェクトなのです。薬剤や複雑なメンテナンスが不要なこのトイレは、経済的にも持続可能なソリューションを提供します。
最後に
インプルーブエナジー株式会社は、今後も衛生管理と感染症予防の重要性に注目し、国内外での普及を図っていきます。これが「命を守るトイレ」として、世界中に広がることが期待されるでしょう。