新たな試み、滋賀県でのCO₂固定化技術の適用試験
滋賀県にて、灰孝小野田レミコン株式会社、出光興産株式会社、日本コンクリート工業株式会社の3社が共同で実施する「コンクリートスラッジを利用した排ガス中のCO₂固定化試験」のプロジェクトが、滋賀県の補助金事業に採択されました。この試験は、2024年7月から2025年3月にかけて行われる予定です。
プロジェクトの背景
このプロジェクトは、大気中のCO₂を抑制する目的で新技術を産業に実装することを目指しています。滋賀県では、近未来技術の事業化を支援することを目的に補助金事業を進めており、今回の試験がその一環として選ばれました。新技術の開発は、持続可能な社会に向けた重要なステップとされています。
合成炭酸カルシウムの製造
灰孝、出光、日コンの3社は、コンクリートの製造過程で出る廃棄物であるコンクリートスラッジから、ボイラーの排ガス中のCO₂と反応させて合成炭酸カルシウム(合成炭カル)を生成する技術の開発に取り組んでいます。この取り組みは、環境に配慮した建材の開発へとつながるもので、特に地球温暖化対策として重要視されています。
昨年、滋賀工場にて設置されたパイロットプラントでの実証実験も行われ、実際に合成炭カルの製造が行われました。この試験を通して、合成炭カルの品質や性能が確認され、社会実装が期待されています。
実施する試験項目
今回の補助金事業では、以下のような試験が予定されています:
- - コンクリートに利用できるかの適用試験
- - 生コンクリートでのハンドリング性試験
- - 地盤改良材としての適用試験
この試験を通じて、合成炭カルの土木建設材料としての適用性が詳細に検討されます。特に、灰孝は自身が製造・販売する生コンクリートに合成炭カルを用いる適用を検討し、出光はその製造支援と品質確認を行います。日コンはパイロットプラントの運用を担当し、実験の実施に向けた準備を進めています。
未来への展望
本試験が成功を収めることで、合成炭カルを用いたコンクリートや地盤改良材の社会実装が2026年度に目指されます。廃棄物の資源化と、CO₂の固定化を同時に実現するこのプロジェクトは、持続可能な資源利用の新たなモデルを提示することが期待されています。
コンクリートスラッジは、製造過程で生じる残余物であり、その中には有用な成分が含まれています。これを活用し、環境負荷を低減しながら新しい建材として生まれ変わらせることは、今後の土木建設業界において重要な取り組みとなるでしょう。この技術が実用化されることで、安心・安全で持続可能な社会の実現に向けての一歩が踏み出されます。