横浜市金沢区で発展する住民主体の自助モデル
横浜市金沢区が注目されている理由は、住民と行政が協力し、災害時に備えた独自の「自助モデル」を構築しているからです。この試みは、自助力を基盤に、地域コミュニティの強化を図っています。自助モデルの進化は、複雑化する現代社会において、ますます重要なものとなっています。
自助と共助:新たな防災の形
災害が頻発する中、我々は「助けられる力」や「個々の孤立」といった従来の考え方から脱却し、自ら考え、つながり、助け合う関係を築くことが求められています。「自助」は、単に自己完結を意味するのではなく、日常生活の延長に非日常時の安心を備えることを目指しているのです。金沢区自助連絡協議会は、こうしたビジョンに基づき、地域住民が互いに支え合う仕組みを作り上げています。
第4回総会の主な内容
2025年6月30日、金沢区公会堂で開催された「第4回 金沢区自助連絡協議会 総会」には、約100名の参加者が集まりました。議題は「未来をつくる『自助』のかたち」で、多彩なスピーカーが様々な取り組みを紹介しました。特に注目されたのは、企業防災と地域防災教育の連携です。
企業防災の取り組み
雨宮自動車工業のCEO、小宮里子さんの講演では、台風による工場浸水を経験したことがきっかけで、備蓄体制を一新したいきさつが語られました。かつての危機を乗り越えるために、彼女は BCP(事業継続計画)を策定することを決意。これにより、横浜市の「グランドスラム表彰」を受けるまでに成長しました。「社員を守る自助」という視点から、企業の防災意識の重要性が再確認されました。
ママたちの防災教育
また、子育てサークル「金沢区ママ ルンビニー」の上野さやかさんは、「ママ目線の防災」の重要性を強調。地域に根ざした彼女たちの活動は、乳幼児を持つ親が自らプロジェクトに取り組む姿勢を映し出しています。ママたちが発信した情報は、多くの共感を呼んでいます。
特別支援教育の結びつき
茅ケ崎市から参加した特別支援学校の取り組みも紹介され、多様なニーズを持つ子供たちが防災に実践的に参加できる様子がレポートされました。誰一人助けられないという理念の下、実地研修を通じて生き抜く力を育てています。
次回イベント「自助リハ」への期待
第4回総会を経て、金沢区自助連絡協議会の活動はさらなる実践フェーズへと進みます。2025年9月20日には、神奈川県立金沢支援学校で『自助リハ』が開催される予定です。このイベントは、地域住民が参加し、災害時の避難行動を事前に体験することを目的としています。特別支援学校との連携が実現し、地域のリアルな声が反映されることが期待されています。
加えて、横浜市立大学との共同による「避難アプリ」の実証実験も行われ、デジタルと地域が融合した新たな避難支援の仕組みが試される予定です。この取り組みは、災害時に誰もが取り残されないようにするための重要な一歩です。
まとめ
金沢区が描く自助の未来は、地域のつながりを深める新しい防災の形を提供しています。住民同士の「おはよう」や「ありがとう」が自然と交わされる社会は、災害時の共助を実現するための基盤となるでしょう。自助連絡協議会の今後の活動に期待が寄せられます。