#筑波大学 #水中ドルフィンキック #渦の構造

最近の研究によって、水中ドルフィンキックにおける泳速の変化が、足の周りの渦の構造にどのように影響を与えているのかが明らかになりました。

この研究は、筑波大学の助教である角川隆明氏、そして新潟医療福祉大学の下門洋文准教授や明治大学の榊原潤教授などの共同チームによって行われました。主に光学式モーションキャプチャや粒子画像流速計測法を用いて、スイマーが水中を前進する際に生成される渦の動きを詳細に分析しました。

水中ドルフィンキックは、イルカのように両脚を上下に動かす技術で、競泳において非常に重要です。これまでの研究でも、泳者の足周りに渦が生じ、その渦が泳者を前に進める力となることが分かっていましたが、泳速によって渦の構造がどのように変わるかは不明でした。

新たな実験では、スイマーが泳ぐスピードを変化させることで、渦の構造がどのように変化するかを観察しました。その結果、泳速が向上するにつれて、特に蹴り下ろしから蹴り上げに移行する際の渦構造に変化が見られ、足周辺に生成される二つの渦間のジェット流の向きがより鉛直に近づいていることが分かりました。このジェット流の変化は、身体を前方に推進させる力に寄与していると考えられています。

具体的には、スピードが増すと、足の周りで生成される渦の強さや流れの方向が変わり、身体を前に進めるための水の流れを利用することができるという結果が得られました。つまり、ドルフィンキックの技術を向上させるためには、単に脚を速く動かすだけでなく、蹴りの動作の切り替えも速度を上げる重要な要素であるということが示されました。

今後の展開として、この研究チームは水の流れを詳細に測定し、様々な泳動作における現象の解明を進めることを予定しているとのことです。また、通常のプールでの実験を通じて、実践的なコーチングや技術指導へも貢献できる科学的なデータを提供することを期待しています。
この研究は、水中での泳ぎに関する理解を一層深め、競技者やコーチにとっても新たな知見を提供するでしょう。

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