働く人の価値観変化、転職における在籍年数の見直し
近年、雇用の流動性が高まる中で、転職が一般的になりつつあると言われています。2024年には、正社員から正社員への転職者数が99万人に達する見込みで、これは12年以上の中で過去最多となるそうです。形を変える働き方の中で、短期的な転職も増えてきており、ある調査では「入社から9.5カ月以内」に転職した人が4割を超えるという結果が示されています。
オープンワーク株式会社では、約1,000人を対象に「転職までに勤めるべき最低期間」についての調査を実施し、年代ごとの価値観の違いが浮かび上がっています。これは、現代における働く人々の考え方を知る貴重なデータと言えるでしょう。
働く人の約4割が「3年未満の離職」を肯定的に捉え
調査結果では、約4割の回答者が「3年未満の離職」に否定的ではないと回答しました。特に、最も多かったのは「何年でも良い」とする意見で、これが26.1%を占めています。続いて「2〜3年未満」と「3〜4年未満」がそれぞれ約25%を占めており、短期間での転職が許容される傾向が強まっています。
一方で、5年以上働くべきだという声は僅か4.5%に留まっており、伝統的に重視されてきた勤続年数の価値が薄れていることが分かります。「何年でも良い」と回答した人たちは、転職は単なる年数ではなく、「状況」や「目的」が重要であり、自己の健康や環境の改善を優先するべきだと考えているようです。
転職のタイミングは「相性の見極め」との意見
調査に参加した中で、「2〜3年未満」や「3〜4年未満」を選んだ理由としては、企業文化や職場の雰囲気との相性を見極めるためにはこのくらいの時間が必要だと考える人が多いようです。特に、次の転職先でどのように評価されるかを考え、短期間の離職ではマイナスに捉えられにくい2〜3年の期間が候補に挙げられます。
ただし、企業側から見ると、若い世代の短期離職に対する懸念も強いようです。この懸念を払拭するためには、転職希望者が業務改善に取り組む姿勢を見せることが重要です。職場が合わないと感じたときでも早期の判断をする意義や、その後の説明責任についても触れていく必要があるでしょう。
世代の違い、50代では長期勤務重視
また、この調査結果を年代別に見ると、20代や30代の若い世代では「1年未満」と答える人がそれぞれ約2割いる一方で、40代以上はこの割合が減り、50代に至っては「最低でも5年以上」の意見が1割以上を占めています。このように、勤続年数に対する価値観は世代間で違いが顕著であることがわかります。
50代以上の人々は、就職した時代背景が影響している可能性が高いです。終身雇用が一般的だった時代に育った世代の人たちは、転職が一般的ではないため、勤続年数を重視する傾向があります。
まとめ
このように、現代の働く人は転職についての価値観が変化しつつあり、短期間での転職が肯定的に受け止められる状況が広がっているのです。特に年代による相違があるため、転職活動を通じて自分の経験や背景をいかに語るかがより重要になると言えるでしょう。
調査の詳細を知りたい方は「働きがい研究所」の公式サイトを訪れてみてください。