国産衛星「みちびき」を使った新しい高精度位置測位システム
株式会社moegi(東京都武蔵野市)の代表取締役社長、片寄里菜氏は、いわき市を中心とした地域産業との協働を重視し、最新の位置情報技術の開発に取り組んでいます。このたび、同社は令和7年度の「産産・産学連携共同研究活動奨励事業助成金」に採択され、次世代地図技術研究会として新たなプロジェクトを開始しました。
この取り組みは、地域企業や研究機関との協働を通じて、国産の準天頂衛星「みちびき」を利用した新しい位置測位システムの実証を目指します。特に、携帯電波が届かない条件下でも高精度な位置情報を取得できる仕組みを構築することが本プロジェクトの大きな目的です。
高精度位置測位の課題
現在の位置測位システムは、GPS(全地球測位システム)だけではなく、携帯電話のモバイル通信から得られる補正データを活用しています。しかし、携帯電話の電波が届かない地域では、これらの補正データが使用できず、位置測位の精度が大幅に低下してしまいます。このため、どのようにして通信圏外でも安定した精度を保つかがこれまでの大きな課題でした。
プロジェクトの具体的な取り組み
本事業では「みちびき」が提供するサブメータ級の測位補強サービス(SLAS)を利用し、携帯通信が届かない場所でも安定した高精度の位置測位を実現します。また、「CALINT」という位置情報管理ソリューションを採用し、日本の準天頂衛星と連携します。これにより、位置情報をリアルタイムに取得し、記録することが可能になります。
使用されるハードウェアには、SONY製のSpresenseマイコンが含まれ、小型のデバイスとして位置情報がBluetooth通信を介してCALINTに送信されます。さらに、取得した位置データに関連する動画や時間情報も統合して記録することができるため、非常に多様なデータを集約した実用的なシステムが構築されます。
効果と応用
この新しいシステムの導入によって、将来的には農業、ドローン運用、道路調査など、通信インフラが未整備な場所においても高精度なデータ取得が可能になる見込みです。特に災害対応の現場でもその効果が期待されています。
これにより、従来よりも効率的な情報収集が可能となり、作業の安全性や精度が向上することが期待されています。
いわき産学官ネットワーク
本事業において株式会社moegiが中心となり、いわき産学官ネットワークの産学官連携コーディネーターが参加し、事業の進捗を支援します。このネットワークは地域の企業、研究機関、および行政が一体となって新たな技術開発やビジネス創出を目指すプラットフォームです。
結論
株式会社moegiは東京本社とともに福島県いわき市を重要な地域連携拠点とし、地域の皆様とともに新しい技術の開発に尽力しています。今後の展開が非常に楽しみなプロジェクトです。
詳細な情報については、
法人サイトをご覧ください。