ASDと子育ての実態
2020-05-14 11:02:52
自閉症スペクトラムASDの子育て実態調査が明らかにした課題とニーズ
自閉症スペクトラムASDの子育て実態調査が明らかにした課題とニーズ
最近、博報堂のPechat開発チームと博報堂こそだて家族研究所、さらにLITALICO発達ナビが共同で実施した「ASD(自閉症スペクトラム)と子育て実態調査」の結果が注目を集めています。この調査は、ASDの子供を持つ保護者が抱える現実的な課題やサポートに対する意識を明らかにすることを目的として行われました。
調査結果の概要
調査では、ASDと診断された子供の保護者の69%が「正解がわからない」と感じていることがわかりました。また、68%が「不安を抱いている」と答え、53.9%は「育児が大変だ」と感じています。この結果は、典型発達の子供を持つ保護者と比べても、特に顕著な差を示しています。
さらに、ASDの子供を持つ保護者の60%以上が、子育ての中で何らかの困難を抱えていると述べており、特に周囲からの理解や支援を「とても必要」と感じているとのこと。しかし、実際にはその理解や支援が不足していると感じる保護者は17.4%と非常に低い割合にとどまっています。
支援の必要性と実態
ASDの子供を持つ保護者の中で、支援を求める対象として最も多いのが「国・自治体などの公共機関」で、51.7%がこれを挙げました。しかし、実際にその支援を受けられていると感じる保護者は35.4%にしか過ぎない事実が浮き彫りになりました。
保護者が求める具体的な支援内容としては、58.2%が「ソーシャルスキルを伸ばす支援」を必要としていると回答し、また「コミュニケーションを促す教育ツール」が60.7%に支持されました。このことから、効果的な育児支援が求められていることが分かります。
ポジティブな視点への期待
興味深いことに、ASDの子供の保護者のうち、周囲の理解や支援が得られていると考える保護者の約80%は、子供の特性を強みとして捉えていると報告されました。これは、周囲のサポートの質が子供の特性への見方にも影響を与えることを示唆しています。
一方、これらの保護者の中で「子どもの将来の可能性が楽しみ」だと感じているのは僅か19.1%で、典型発達の子供の保護者からの期待感に比べるとかなり低い状況です。
終わりに
この調査結果は、ASDの子供を育てる保護者にとっての複雑な感情や現実を反映しています。教育機関や地域社会、専門家が連携し、ASD児を持つ家庭に対する理解を深め、実際的なサポートを提供することが求められています。今後の施策として、具体的な支援体制の拡充が期待されるところです。子供たちが持つ特性を最大限に活かす育児環境の整備が重要な課題となるでしょう。
会社情報
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