中国インバウンドのSNS発信、その実態とは?
訪日旅行客の増加に伴い、中国インバウンドの動向はますます注目されています。中国・台湾などの海外プロモーション・インバウンド支援を行うインタセクト・コミュニケーションズ株式会社は、訪日旅行経験のある中国人に対して「日本旅行中のSNS発信に関する調査」を実施しました。
調査結果によると、中国人旅行者の5割以上が日本旅行中に毎日1回以上、SNSで旅行体験や口コミをシェアしていることが判明しました。これは、中国における「UGC(User Generated Contentユーザー生成コンテンツ)文化」の影響が大きいと考えられます。SNSでの口コミや写真を見た人が、実際に訪れて同じようにSNSで発信する、というサイクルが生まれているのです。
では、中国人旅行者は具体的にどのようなSNSを使って、どんな内容をシェアしているのでしょうか?
中国人旅行者のSNSシェア率は驚異の9割超!
調査では、旅行中のSNSシェア率について、実に94.3%の人が「旅行体験や口コミをSNSにシェアする」と回答しました。その中でも、毎日1回以上の投稿を行う人は56.0%に達し、旅行中はほぼ毎日SNSを利用して情報発信していることがわかります。
中国人旅行者がシェアする主なSNSは?
中国人旅行者が旅行体験や口コミを主にシェアする媒体として、中国版LINEとも呼ばれるコミュニケーションアプリ「WeChat」の機能「WeChatモーメンツ」が89.0%と圧倒的なシェアを獲得しました。続いて「RED」(中国版インスタグラム)が51.3%、「抖音(ドウイン)」(中国版TikTok)が42.1%、「Weibo」(中国版X、旧Twitter)が35.8%と、SNSが主流であることがわかります。一方、中国最大級の口コミサイト「大衆店評」への投稿は16.0%、「Ctrip」への投稿は11.0%と、SNSに比べてシェア率は低い傾向にあります。
写真・動画をシェアする人気スポットは?
SNS等にシェアする撮影スポットとして、最も人気が高いのは「桜」で、65.7%の人が「よくシェアする」と回答しました。これは、桜が日本を象徴する風景として、中国人旅行者に強い印象を与えていることを示しています。また、「雪景色」、「川・海」など、日本の自然にまつわるスポットも人気が高く、上位にランクインしました。一方、「アニメ等のキャラクタースポット」や「寺・神社」は、中国人旅行者にとってそれほど魅力的な撮影スポットではないようです。
中国人旅行者はどのような感情の時にシェアしたくなるのか?
調査では、日本旅行中にシェアしたくなった感情について、ポジティブな感情が圧倒的に多く、「綺麗、芸術的と感じた時」や「初めて見たと感じた時」など、感情を揺さぶられた体験をシェアしたいと考えていることがわかります。一方で、ネガティブな経験をシェアしたいという回答は、わずかでした。
口コミ投稿における課題とは?
中国人旅行者の多くは、口コミサイトや旅行情報サイトに投稿しようとしても、目的の店舗や施設のページが見つからないという課題を抱えていることがわかりました。これは、日本語で書かれた情報が中心であるため、中国人旅行者にとって情報検索が難しいという現状があると考えられます。
今後の中国インバウンド施策への示唆
今回の調査結果から、中国インバウンド施策においては、SNSを活用したプロモーションが非常に重要であることがわかります。特に、中国人旅行者が利用しているSNS媒体への情報発信や、魅力的な写真や動画コンテンツの制作が効果的と考えられます。また、口コミサイトや旅行情報サイトへの情報掲載においては、中国人旅行者にとってアクセスしやすい環境を整えることが重要となります。
インタセクト・コミュニケーションズでは、中国主要SNSの運用からプロモーションまで、幅広くサポートすることで、企業の中国インバウンド戦略を支援しています。