新技術LiDAR用APD
2022-10-12 13:31:26

温度センサ不要の新技術を使った産業用LiDAR向けAPDが登場!

浜松ホトニクスが開発した新型APDの紹介



最近、浜松ホトニクス株式会社が産業用LiDAR向けの新たなアバランシェ・フォトダイオード(APD)アレイを発表しました。この新型APD、名付けて「Gain Stabilized Si APDS16430-01CR」は、独自の技術を駆使して開発されたものであり、特筆すべきはマイコンや温度センサが不要である点です。これは、温度変化に応じた信号の増倍調整が必要な旧来のAPDモジュールに革新をもたらすものです。

新開発の背景



LiDAR(Light Detection and Ranging)技術は、レーザ光を物体に照射し、その反射をセンサでキャッチして距離を測る手法です。この技術自体は広く使用されているものの、その高性能を維持するためには、従来はマイコンや温度センサを搭載する必要があり、それがコストの増加や技術的な複雑さにつながっていました。

浜松ホトニクスは、その製造技術を駆使し、特に特許技術を用いてセルフバイアスジェネレータ(SBG)をAPDと一体化することで、この問題を解決しました。SBGを用いることで、増倍率を固定し、外部センサを排除することが実現されます。

主な特長と性能



このAPDアレイは、16チャンネルを備えており、より微弱な光を高感度で検出可能な設計がなされています。特に、電流を電圧に変換するトランスインピーダンスアンプ(TIA)が内蔵されているため、追加のコンポーネントなしで使用できます。これにより自動搬送車に組み込む際のコストが大幅に削減されるほか、マイコンや温度センサを無くせるのも大きなメリットです。

また、TIAの設計が最適化されており、応答速度が従来の3倍と大幅に向上しています。これにより、距離測定の精度やスピードも向上し、特に産業用アプリケーションでの利用が期待されています。

クロストークの改善



一方で、APDとTIAの構造に工夫を施すことで、誤検出の要因となるクロストークの発生を明らかに抑えることができました。これにより、より信頼性の高いデータ取得が可能となり、LiDAR技術の性能をさらに引き上げています。

展望と今後の計画



今後、浜松ホトニクスでは、この新しいAPD製品を市場に投入し、量産へと移行する予定です。2022年10月末からサンプル提供を開始し、2023年4月には量産もスタートする見込みです。また、アジア最大級の情報技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC 2022」にも出展し、この新技術を広くアピールする計画です。

応用イメージ



この新型APDアレイは、特に自動搬送車やロボティクスの分野での利用が見込まれ、効率的で低コストなLiDARモジュールの展開が期待されています。信号処理回路の内蔵により、機器全体のコンパクト化も進み、操作性やメンテナンスの簡素化にも貢献すると考えられます。

新型「Gain Stabilized Si APDS16430-01CR」がもたらす変革について、今後も注目が集まりそうです。

会社情報

会社名
浜松ホトニクス株式会社
住所
静岡県浜松市中央区砂山町325-6
電話番号
053-452-2141

トピックス(IT)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。