日本金属が新たに開発した絶縁ステンレス鋼FI仕上
近年、スマートフォンやゲーム機の進化に伴い、電子機器の小型化と低背化のニーズが急激に高まっています。これらの製品には、短絡を防ぐための絶縁処理が必須ですが、従来の手法はコストがかかる上、機器のデザインや製造効率にもネガティブな影響を与えることがありました。
そのような背景の中で、日本金属が新たに開発した「絶縁ステンレス鋼FI仕上」は、これらの課題に効果的に応える製品として注目を集めています。この新技術では、ステンレス鋼の表面に絶縁抵抗を持つ無機皮膜が形成され、膜の厚さは1μm程度と非常に薄く、これにより構造のコンパクト化が可能となります。さらに、後加工の必要がないため、製造工程の省略や生産性の向上にも寄与します。
FI仕上の特長
1.
高い表面絶縁抵抗: 50MΩ以上の高い絶縁性能を有し、電子機器の信頼性を向上させます。
2.
優れた耐熱性: 850℃まで耐えられる皮膜を持ち、高温環境でも安定した性能を確保します。
3.
耐傷性: 硬質な無機被膜は良好な耐傷性を誇り、摺動部での使用にも適しています。
4.
選べる鋼種: SUS304、SUS301、SUS430など、様々なタイプの鋼に対応可能です。
このFI仕上は、環境負荷低減に貢献する製品でもあります。絶縁処理を顧客に要求しないことで、手間を減らし、エコプロダクツとしても認められています。これにより、日本金属は2050年のCO₂排出量Net Zeroを目指し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。
計画とビジョン
日本金属は現在、「NIPPON KINZOKU 2030」と呼ばれる第11次経営計画を進行中です。この計画は、「人と地球に優しい新たな価値を共創するMulti&Hybrid Material企業」をビジョンに掲げ、様々な素材を圧延・複合成形することで、最終製品に求められる性能を実現することを目指しています。新たなニーズに応えるため、多様な素材を活用し、近似形状での成型加工を実現することで、革新的な製品開発を行っています。
このように日本金属の新しい絶縁ステンレス鋼FI仕上は、時代の要求に応える画期的な技術であり、電子機器や二次電池市場におけるさらなる適用が期待されています。これからも技術革新を進め、さまざまなニーズに応じた製品を提案していくことで、業界のリーダーとしての役割を果たしていきます。
詳細については、
日本金属の公式ウェブサイトをご覧ください。