高島屋グループと国産SAF製造の新たな試み
2023年9月30日、高島屋グループは、国産の持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下SAF)の製造に向けた基本合意書を締結しました。この協力には、高島屋、東神開発、アール・ティー・コーポレーションに加え、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが参加しています。
この合意により、使用済みの食用油、いわゆる廃食用油をSAFの原料として持続的に供給し、環境負荷を軽減する取り組みが推進されます。また、これと同時に「Fry to Fly Project」というプロジェクトにも参加し、脱炭素社会の実現に向けた活動を強化する計画です。
廃食用油の活用とその流れ
新たな取り組みでは、高島屋グループが運営する商業施設やレストランから排出される廃食用油が、レボインターナショナルによって収集されます。その後、SAFFAIRE SKY ENERGYが運営するSAF製造工場でこれを基にしてSAFが生産される流れです。この工場は2024年の完成を予定しており、2025年からは運転を開始する計画です。最終的には、年間約3000万リットルものSAFが供給される見込みです。
取り組みの広がり
また、高島屋は10月から新宿店で廃食用油の供給を始め、順次、全国の店舗やレストラン、社員食堂に対象を広げるとのことです。全体で年間約28万リットルの廃食用油が生じる見込みで、そのすべてが持続可能な形で活用されることが期待されています。
ESG経営としての意義
高島屋グループは、ESG(環境、社会、ガバナンス)経営を推進し、持続可能な社会の実現に向けた活動を続けています。電力使用量の削減や、再生可能エネルギーへの転換、廃棄プラスチックの削減、食品ロスの削減等、幅広く取り組んでおり、今回のSAFプロジェクトもその一環です。航空業界との連携は新たな挑戦ですが、より効率的なCO2削減につなげる戦略を模索しています。
SAFとは何か
SAFは、バイオマスや廃食用油、都市ごみなどを原料にして製造されます。従来の航空燃料と比べ、温室効果ガスの排出量を大幅に減少させることができ、既存のインフラを活用して使用できる点が特長です。これにより、航空業界における持続可能性を実現するための重要な手段となります。
最後に
このプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からも助成を受けており、業界全体での協力が求められています。「Fry to Fly Project」は、廃食用油の収集を促進し、脱炭素化への道を切り開くものです。高島屋グループの取り組みを通じて、より持続可能な未来が築かれることが期待されています。