仙台市の救急搬送を支える革新技術「NSER mobile」
仙台市では、救急搬送の効率化を目指す新しい情報システム「NSER mobile」が導入され、2024年の実証事業が始まります。このシステムは、救急隊の業務をサポートし、医療機関との連携を強化する仕組みです。
背景:救急搬送の課題
特に夏季の7月と8月は救急搬送件数が増加し、仙台市消防局も2023年には64,830件の救急出場を記録と、過去最多の搬送件数となっています。このような状況において、入電から患者の医療機関収容までの時間が延びることが大きな課題となっています。
延伸の原因としては、傷病者からの情報聴取や、医療機関への伝達などに多くの時間を要していることが挙げられます。また、医療機関の受け入れ体制も逼迫しており、搬送先の調整に時間がかかってしまうのです。
NSER mobileの導入
仙台市では、TXP Medicalが開発した「NSER mobile」による検証が行われます。このシステムは、仙台市内の8つの救急隊と4つの主要な医療機関(東北大学病院、仙台医療センター、仙台市立病院、仙台オープン病院)で実施されます。医療機関との情報共有をデジタル化することで、迅速な搬送体制の構築を目指しています。
システムの特徴
「NSER mobile」は、救急現場と医療機関間のコミュニケーションを円滑にするシステムで、救急車に配備されたタブレットを用いて患者情報を効率的に収集・送信します。これにより、従来の電話や紙の記録での情報伝達をデジタル化し、通信の可視化を実現します。
具体的には、患者のバイタルサインや病歴、さらには静止画や動画情報の共有が行え、医療機関は事前に受け入れの準備を進めることができるようになります。また、関連情報の一斉照会機能や履歴の共有、事後検証機能といったデータプラットフォームとしての役割も果たしています。
期待される効果
このシステムの導入により、救急搬送の時間を短縮し、患者の転院や治療のスピードが一層向上すると期待されています。特に、EBPM(Evidence-Based Policy Making)を通じて、エビデンスに基づいた政策立案が進むことが期待されています。医療機関とのスムーズな情報共有は、救急医療の質を向上させる鍵となるでしょう。
TXP Medicalのビジョン
TXP Medicalは、「医療データで命を救う」をミッションに掲げており、今後も革新技術を用いた医療インフラの整備に取り組んでいます。次世代の医療システムとして、全国の大病院で利用されているシステムを基盤に、地域に根差した救急対応を行うことで、更なる医療の質の向上を目指していくことでしょう。
仙台市の取り組みは、他の地域にとっても貴重なモデルケースとなり、全国レベルでの救急医療の革新に寄与することが期待されています。今後の展開に注目です。