スギノマシンと核融合に向けた国際的協力
富山県滑川市に本社を置く株式会社スギノマシンは、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構を通じて、フランスで進行中の核融合実験炉、ITERプロジェクトへの参加を果たしました。同社は90年以上の歴史を持ち、その技術力を生かして核融合研究の重要な一翼を担っています。
ITERプロジェクトとは
ITER(国際熱核融合実験炉)プロジェクトは、日本を含む7つの国際的な参加国が協力して進めている核融合開発のためのプロジェクトです。このプロジェクトは、世界のエネルギー問題解決に向けた革新的な取り組みとして注目されており、その拠点となるITER炉は、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスで建設中です。日本は、このプロジェクトの運転保守に必要な遠隔保守機器の開発を担当しており、これにより安全かつ効率的な運用が期待されています。
遠隔保守ツールの開発
スギノマシンは、これまでの実績を活かし、核融合炉の運転に必要な遠隔保守ツールの開発を進めています。具体的には、配管の切断や、冷却配管を接続するためのツールなど、ITERに特化した装置の設計・製造を行っています。同社の拡管工具「チューブ・エキスパンダ」や管切断用の「チューブカッタ」は、熱交換器の製造やメンテナンスに広く利用されており、これらの技術がITERプロジェクトにも応用されています。
ITER機構への訪問
2024年11月4日、スギノマシンから代表取締役副社長の杉野岳氏を中心とする4名のチームがITER機構を訪問しました。訪問中には、建設中のITER施設を見学し、現在進行中のプロジェクトに関する意見交換を行い、今後の展望に関しての議論も行われました。ITER機構の鎌田裕副機構長は、日本が持つ核融合技術の重要性を強調し、さらなる技術開発の必要性を訴えました。
杉野副社長は訪問後、「未来のエネルギー問題の解決に向け、新たな技術開発に関与することに大きな責任と誇りを感じる。富山から世界へと貢献していく」との決意を新たにしました。
今後の展望
日本では、ITERプロジェクトに加え、2030年代に向けた核融合発電実証のための開発も進行中です。スギノマシンは、この分野での進展に寄与することを目指し、遠隔保守ツールの開発に限らず、さまざまな核融合関連技術の研究・開発を続けていく姿勢を示しています。
連絡先
株式会社スギノマシン プラント機器事業本部 生産統括部第二技術部
TEL:076-477-2514
会社概要
- - 会社名:株式会社スギノマシン
- - 代表者:杉野良暁(代表取締役社長)、杉野岳(代表取締役副社長)
- - 本社所在地:富山県滑川市栗山2880番地
- - 創業:1936年
- - 事業内容:高圧ジェット洗浄装置、原子力発電保守用機器、産業用ロボット等の開発・製造・販売
- - URL:https://www.sugino.com/