吉野の林業革新
2021-09-16 09:00:04
奈良県吉野の伝統林業が新たな挑戦を開始する
奈良県吉野の伝統林業が新たな挑戦を開始
奈良県吉野町は、500年にわたる林業の歴史を有し、自らの木材として特にスギやヒノキを提供しています。この地域で生産される木材は「吉野材」として知られ、日本国内における高級建材としての地位を保っています。しかし、近年、和室の減少や作業員の高齢化といった複雑な要因により、吉野材の流通量は減少し、価格も下落しています。さらに、山の荒廃が進行している中、吉野材に関与する経営は非常に厳しい状況に置かれています。
そのような中で、吉野製材工業協同組合は、新たなマーケティング拠点「YOSHINO WING」を設立しました。この拠点は、吉野林業が直面している課題を解決すべく、多用途な流通構造の確立とともに、付加価値の創出を目指しています。これまでの問屋経由の方法から転換し、直接的な流通モデルを構築することで、吉野材の魅力を最大限に引き出そうとしています。
流通構造の変革
「YOSHINO WING」では、製品企画、木材の調達、製造、物流、マーケティング、販売までの一連の流れを一手に手がけるビジネスモデルを採用しています。この新しいアプローチは、施主や建築関係者、国産材に関心を持つエンドユーザーに対して、よりアクセスしやすい情報提供を可能にし、さらにはより親しみやすい販売経路の開拓を行っています。これまで情報が不足していた人々に対して、吉野材を利用した選択肢を提示し、新たなビジネスチャンスを創出することが期待されています。
ウッドショックを好機に活かす
近年、アメリカにおける新築住宅需要の高まりや新型コロナウイルスの影響を受けて、日本でも「ウッドショック」が起こっています。日本国内で使用される木材の約70%が輸入材であるため、輸入材の価格高騰が国産材への関心を高めている状況です。このことは、吉野材への期待を再度集めるきっかけとなり、特にテレワーク普及により、居住空間に対する価値観の変化も見受けられます。
おうち時間を快適にするための自然素材や高級家具へのニーズが高まっており、吉野材はその需要に応える絶好の資源となることでしょう。加えて、YOSHINO WINGは、顧客からの直接の依頼に応じて施工業者を選ぶ逆指名も可能としており、きめ細やかなサービスが顧客満足度の向上につながると考えています。
今後の展開とイベント
吉野製材工業協同組合は、今後もさらなる付加価値の創出に取り組むとともに、吉野材の魅力や伝統建築の技術を体験できるイベントを開催する予定です。具体的には、2021年10月から2022年3月まで、さまざまな企画を通して吉野材に触れる機会を提供します。
特に、地元の木工作家や建築の専門家が参加するイベントでは、吉野の林業の魅力を幅広い層に伝えることを目指しています。これからも吉野地域に根ざした林業の持続可能な発展をサポートしつつ、地域の資源を有効活用した社会作りに寄与していく所存です。皆様の参加をお待ちしております。
会社情報
- 会社名
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吉野製材工業協同組合
- 住所
- 奈良県吉野郡吉野町丹治11
- 電話番号
-
0746-32-5773