JAPAN AIが実装したマルチモーダルRAGの革新性とは？

JAPAN AIが導入したマルチモーダルRAG

株式会社ジーニーのグループ企業であるJAPAN AIが、AIを活用した新たなプロダクト「マルチモーダルRAG」を実装したことを発表しました。これは、画像やテキストといった複数のデータ形式を統合的に理解し、必要な情報に基づいた回答を生成する仕組みであり、特に製造業における技術者のノウハウの管理・活用に役立つとされています。

エンドユーザーの課題

多くの製造業においては、熟練技術者の持つ技術や知識が鍵となりますが、技術者の退職や異動によって、社内に散在する膨大な技術資料の活用が困難な状況にあります。設計図面や作業手順書、品質管理データなどが蓄積されているものの、必要な情報にアクセスするのが難しいといった課題があります。これを解決するためにJAPAN AIは、これまでのRAG技術を超えた新たな機能であるマルチモーダルRAGを開発しました。

マルチモーダルRAGの特徴

マルチモーダルRAGは、テキストや画像、音声といった異なる形態の情報を行き来することで、情報の検索精度を高めています。これまでのRAG技術は主にテキスト情報の検索に依存していましたが、マルチモーダルRAGは、社内に保管された図面や写真からも情報を取得できるよう改良されました。例えば、PDFファイル内のテキストを自動的に判別し、そこから重要な数値やデータを効率的に抽出することが可能になっています。

具体的な使用例

図面検索

「全長50メートル級の船舶設計図面を探して、仕様を教えて」と指示すると、システムは該当する図面をすぐに特定し、設計図面に含まれる詳細な情報を抽出します。この機能により、設計者は過去の同様事例を迅速に参照することができ、新しい設計に生かせる資料を短時間で手に入れることができます。

グラフ理解

また、売上推移を示すグラフに対して「2023年第3四半期の数値は」といった問いかけをすると、システムはグラフを解析し、正確な数値データとその分析を提供します。これにより、製造業者は業績の傾向を把握しやすくなり、戦略的な意思決定を支援します。

今後の展望

JAPAN AIでは、さらに複雑な図面や多様なデータ形式への対応拡充を目指し、業務改善提案機能をも含むAIエージェント開発を進めていく予定です。単なる情報検索ではなく、知識活用支援へと進化させることで、製造業を中心とする各業界において、業務効率と技術革新を促進し続けていく方針です。

サービスの広がり

JAPAN AI の提供するAIサービスには、日々の業務をサポートする各種エージェントが含まれています。広告運用や営業部門の活動記録の自動化、議事録生成など、業務に特化した様々な機能が搭載され、企業の生産性向上に寄与しています。これからも、AI技術の進化を通じて新たな可能性を追求し、企業の課題解決に努めていくことが期待されていいます。