日本の科学技術を加速する新たな取り組み
2025年11月17日、理化学研究所(以下、理研)は、NVIDIAのGB200 NVL4システムを搭載した2つの新しいスーパーコンピューターの導入を発表しました。これらのシステムは、科学技術の進展を促すための重要なステップと位置付けられており、AIおよび量子コンピューティングの研究を推進します。
スーパーコンピューターの概要
新しいスーパーコンピューターは、理研の科学のためのAIイニシアチブの一環として設計されています。1つ目のシステムは、1,600基のNVIDIA Blackwell GPUを搭載し、生命科学や材料科学、気象予測、製造、ラボラトリーオートメーションなどの研究を促進します。
また、2つ目のシステムは量子コンピューティング専門で、540基のNVIDIA Blackwell GPUを搭載しており、量子アルゴリズムやハイブリッドシミュレーションの研究を加速します。このシステムは、NVIDIA Quantum-X800 InfiniBandネットワークで相互接続されており、効率的なデータ処理を実現します。
理研とNVIDIAの長期的な協力
NVIDIAのハイパースケールおよびハイパフォーマンスコンピューティング部門のバイスプレジデント、イアン・バック氏は、「理研は世界有数の科学研究機関であり、コンピュータ技術における新時代を牽引しています。共に日本独自のイノベーション基盤を構築し、複雑な科学と産業の課題を解決するための取り組みを進めます」と語っています。
理研の計算科学研究センター長、松岡聡氏も、「NVIDIA GB200 NVL4アクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームを次世代スーパーコンピューターに統合することは日本の科学インフラにとって非常に重要な進展です。これにより、幅広い分野での研究が加速されるでしょう」と述べています。
「富岳NEXT」プロジェクトの重要性
さらに、2つの新システムは、富士通とNVIDIAによるフラッグシップスーパーコンピューター「富岳NEXT」の共同設計に続くものです。「富岳NEXT」は、前世代のスーパーコンピューター「富岳」の後継機となる予定であり、従来のアプリケーション性能が最大100倍向上すると期待されています。
このプロジェクトでは、FUJITSU-MONAKA-XとNVIDIAのGPUが連携し、次世代のスーパーコンピューターシステムを構築します。これにより、日本におけるHPC、AI、量子コンピューティングの新しいマイルストーンがもたらされるでしょう。
科学の進歩を加速するソフトウェア
加えて、NVIDIAは既に理研と協力し、NVIDIA TensorコアGPUの性能を利用した科学計算高速化用のソフトウェアを開発しています。これにより、世界中のスーパーコンピューティングセンターがGPUの能力を最大限に活用できるようになります。
理研は、400以上の高度に最適化されたGPUアクセラレーテッドライブラリやツールを通じて、日本の科学技術におけるAIと量子コンピューティングを推進していくことでしょう。
新しいスーパーコンピューターは2026年春に稼働予定で、「富岳NEXT」は2030年までの稼働を目指しています。これにより、日本が科学技術の最前線に立ち続ける期待が高まっています。