母乳中のポリアミンの役割と食物アレルギー発症リスクの関連
雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:松永政也)は、母乳の成分が乳幼児の健康に及ぼす影響についての研究を進めています。このたび、第3回全国母乳調査の成果が、2026年5月に開催される第80回日本栄養・食糧学会大会で発表されることとなりました。本研究の中心課題は、「母乳中のポリアミンが乳幼児の食物アレルギー発症リスクに与える影響」です。
食物アレルギーがもたらす影響
食物アレルギーは乳幼児に多く見られる健康問題の一つで、家族の日常生活にも深刻な影響を与えます。そのため、母乳に含まれる成分の役割を明らかにし、アレルギー発症リスクを低下させる方法を探る重要性が増しています。母乳には栄養素だけでなく、免疫機能や消化管の発達を助ける成分が豊富に含まれています。
ポリアミンについて
ポリアミンは、すべての生物体内に存在し、細胞増殖や免疫調節において不可欠な成分です。特に母乳に含まれ、乳幼児の健康をサポートする重要な役割があります。主に知られているポリアミンは、プトレシン、スペルミジン、スペルミンの三種類です。
研究の成果
昨年の学会で報告された研究結果によれば、母乳中の総ポリアミン濃度が高いほど、乳幼児の食物アレルギー発症リスクが低下することが示されました。この結果をもとに、さらに詳細な解析を行い、プトレシン、スペルミジン、スペルミンの三つのポリアミンの濃度とアレルギーの発症との関連を調べました。
解析には、約1,200名の母親から収集した5000件以上の母乳サンプルが使用され、特にスペルミジンとスペルミンがアレルギー発症を抑制する可能性があることが見つかりました。具体的には、食物アレルギーを発症しなかった群の母乳中スペルミジンおよびスペルミン濃度は、発症した群に比べてそれぞれ23%、22%高いことが分かりました。
統計解析と評価
多重ロジスティック回帰分析により、母乳中のスペルミジンおよびスペルミン濃度が高い場合、乳幼児が食物アレルギーを発症するオッズ比が有意に低くなるという結果が出ました。オッズ比とは、特定の事象の発生確率を示す指標で、1より小さい値はその事象が起こりにくいことを意味します。
研究の今後の展望
今後も、この調査で収集された母乳を分析し、赤ちゃんの発育や健康との関連を探求していきます。研究成果を適切に発表し、育児用ミルクの開発に活用することで、より多くの赤ちゃんの健康を守ることに寄与していくことを目指しています。
研究発表概要
- - 発表者: 野尻恵資、安枝武彦、日暮聡志
- - 発表日: 2026年5月15日~17日
- - 会場: サンポート高松(香川県高松市)
この研究は、母乳が持つ可能性を再確認し、家族全体の健康に寄与する新たな知見を提供することを目的としています。