リハビリテーション専門職団体協議会が令和6年度の報酬改定を踏まえ実施した「リハビリテーション専門職の処遇改善に関する実態調査」の結果が発表されました。本調査は日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の3団体が中心となり、医療、介護、障害福祉施設に勤務するリハビリ専門職に焦点をあてています。
調査の背景
今回の調査は、令和6年度の報酬改定後、リハビリ専門職が実際に受けた給与の変化を把握することを目的としています。具体的には、現金給与総額の引き上げの有無やその実施理由などが取り上げられました。調査対象は全国の医療施設や介護事業所、障害福祉施設であり、78施設の代表者にアンケートが実施されました。
調査結果の要点
調査結果によると、医療施設では68.3%、介護施設では52.1%、障害福祉施設では54.8%の施設が現金給与の引き上げを実施しましたが、一方で約3割から4割の施設ではまだ昇給が行われていないことがわかりました。また、介護・福祉施設でのベースアップ実施率は特に低く、実施率は医療施設31.4%、介護施設・事業所17.4%、障害福祉施設・事業所12.2%にとどまっています。
報酬が与える影響
現金給与の引き上げの背後には、定期昇給や手当の新設などの理由があるものの、賃金水準を引き上げるためのベースアップがなかなか実施されていない現状が浮き彫りになりました。調査に回答した専門職からは、「時間外労働が増え、報酬が減少する懸念がある」との声も寄せられ、物価上昇に対して賃上げが追いつかない厳しい実態が語られています。
施設の種類による格差
施設の規模や開設主体によっても、現金給与の引き上げ実施率に差が見られました。特に小規模な医療施設や営利法人が運営する福祉施設では、給与引き上げの実施率が低くなる傾向があり、このことが処遇格差を一層深刻化させています。また、職員の在籍割合が少ない場合も同様に賃金が低く留まることが多いことが指摘されています。
今後の展望
調査結果からは、リハビリテーション専門職の処遇改善に向けて、さらなる賃金の底上げが必要であるという結論が示されました。医療や介護、福祉の現場では、専門職の待遇を見直し、持続可能な昇給制度を確立するための政策提言が求められています。これらの対策が実現すれば、リハビリテーション専門職がより安定した環境で働けるようになることを期待する声が多く上がっています。
このように、リハビリテーション専門職の処遇改善に関する調査は、業界全体の改革への道を示唆しており、ステークホルダー各位が注視すべき重要なデータとなっています。ついに、彼らの職業としての価値が再評価される日が近づいていると感じさせる調査結果となりました。