2022年にスウェーデンのラベーン&シューグレーン社より発表され、スウェーデン年間最優秀絵本賞を受賞した作品『けがをした日』が日本に上陸します。この作品は、エンマ・アドボーゲの執筆、菱木晃子の翻訳によって、5月15日(木)に全国の書店で手に入るようになります。
この絵本は、主人公が学校の休み時間に友達と遊んでいる最中にけがをしてしまい、注目を浴びることになるというストーリーです。あふれ出す血を前に、先生や仲間たちがどのように反応するのか、絵本を手に取った読者はその心理描写を楽しむことができるでしょう。
アドボーゲは、スウェーデンで人気の絵本作家であり、「注目を浴びること」や「アイデンティティ」といったテーマを巧みに盛り込んでいます。彼女はまた、学校の生活や友情、それに伴う喜びや痛みをユーモラスかつ感受性豊かに描いています。漢字の一部にダジャレも盛り込まれ、子供たちだけでなく大人も楽しめる内容になっています。読者は主人公の感情の波を通じて、自身の体験を重ね合わせながら物語を味わうことができるでしょう。
翻訳は、スウェーデン文化の普及に貢献してきた菱木晃子が担当し、彼女自身がスウェーデンの文化や教育についても触れています。特にダジャレ部分は、菱木のセンスが光る部分で、原作のユーモアをそのまま表現しています。
また、本書の表紙にはミロコマチコによる題字が採用されており、視覚的にも引き込まれる仕上がり。全体を通して、絵本というメディアが持つ力を改めて感じさせてくれます。本書はさらに、英語、韓国語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、アラビア語など、合計9カ国語で翻訳出版されており、今回の日本語版で10カ国語目となります。
そして、著者のアドボーゲは、「きず」という言葉に魅了されたことから、この絵本の制作を進めました。この一言が引き金となり、彼女の中で「注目を浴びること」というテーマが象徴的に具現化されています。
内面的な葛藤や思考の広がりを描く一方で、アドボーゲもまた血の赤を作品の主役として際立たせるための工夫を重ねており、彼女の創作はまさに色彩の一つに感情が込められています。
最後に、菱木晃子は本書の「あとがき」で、スウェーデンの教育観や文化についても触れており、絵本の背景にあるメッセージをより一層強くしています。
この特別な絵本『けがをした日』は、子供たちにとって新しい発見の場となるだけでなく、大人にとっても楽しめる深いものをもたらすことでしょう。ぜひ、手に取ってみてください。