Quantum Meshが特許取得した液浸冷却システム『KAMUI』の特長
Quantum Mesh株式会社の本社がある東京都中央区は、先進技術の発信地として知られています。最近、同社は自社開発の液浸冷却システム『KAMUI』に関する包括的特許を取得しました。この技術は、AIやGPUの効率的な運用に寄与する新たな冷却方法として位置付けられています。特許取得に至った背景とKAMUIの特長について、詳しくお伝えします。
KAMUI開発の背景
2023年における生成AIの急速な普及により、AI処理に必要なGPUの電力消費は飛躍的に増加しました。従来の空冷データセンターでは、最新のGPUを十分に冷却することが困難になり、その結果、冷却性能の限界が露呈されました。具体的には、水冷方式でも高発熱GPUを支えるには限界があり、効率的な熱管理が求められています。
そうした中、液浸冷却が新たな解決策として浮上しました。サーバーを絶縁オイルに浸すことによって、熱の回収と冷却を効率的に行うことができ、高密度のGPU環境でも省エネルギーを実現します。Quantum Meshは、これに応じてKAMUIを開発し、将来のAI社会を支えるデジタルインフラの構築を目指しています。
KAMUIの主な特徴
KAMUIは、閉鎖循環式の独自の液浸冷却システムであり、2024年からの運用開始を予定しています。2025年に商用化され、用途に応じたサーバーとの組み合わせで提供されます。サービスを支える主な特性は以下の通りです。
地下水を冷却源とした効率的な冷却
KAMUIの最大の特長は、日本及び世界中に余っている“地下水”を冷却源として利用できる点です。この地下水は年間を通して14〜18℃の安定した温度を持ち、効率的な熱交換を可能にします。このように、自然環境を用いたサステナブルな設計により、低環境負荷でデータセンターを運営できます。また、地下水が不足する地域にも対応するため、チラー冷却方式も選択肢として持ち、柔軟な導入が可能です。
世界最高水準のエネルギー効率
KAMUIは、液浸冷却技術の採用により、必要な冷却電力が従来の空調技術の10分の1以下に抑えられます。これによって、データセンター全体のPUEが1.03〜1.04という世界最高クラスの水準に達しています。
コンパクトなフットプリント
KAMUIは、1m²のフットプリントで40kVAまでの冷却を実現します。このコンパクトさにより都心部や空間が限られた地域でも高性能なデータセンターを運営することが可能です。実際、従来比で約80%のスペース削減を実現しています。
KAMUIシステムの詳細
KAMUIは、サーバーを冷却液に浸し、サーバーから発生する熱を効率的に取り除く仕組みを用います。これは、地下水とサーバーからの熱の交換によって実施され、その結果、冷却にかかる電力を驚異的に削減します。また、データセンターとしてのPUEは世界水準で評価されており、多くの企業や施設にとって有効な選択肢となり得ます。
Quantum Mesh株式会社について
Quantum Mesh株式会社は、情報セキュリティや計算処理の効率化を目的とした可搬型データセンターの開発と運用を行う企業です。日々増加する情報の適切な管理と利用を目指し、AIやIoT技術を活用して、未来の街づくりに寄与することを目指しています。高いセキュリティと計算能力を両立させることにより、正しいデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた取り組みを進めています。
この特許技術が進化を続け、今後のデータセンター業界に新たな可能性をもたらすことを期待しています。