日揮とMetso社がリチウム精錬分野での協業に向けたMOUを締結
日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮)は、リチウム精錬における新たな技術習得を目指して、フィンランドに本社を置くMetso社との非独占的な覚書(MOU)を締結しました。この合意により、両社はリチウム資源の効率的かつ持続可能な利用を模索していきます。
リチウムの重要性と供給の課題
リチウムは、電気自動車や二次電池に欠かせない重要な鉱物であり、その需要は年々増加しています。しかし、リチウムの生産地は限定的であり、精錬技術も地域によって偏在しています。現在主流とされる硫酸焙焼法は、環境に対する影響が大きいことで知られており、腐食性の高い硫酸を使用するため、副産物の処理や残渣処理が課題となっていました。これに対してMetso社が開発したアルカリ浸出法は、副産物の環境負荷を軽減しつつ、効率的にリチウムを抽出できる手法として期待されています。
Metso社のアルカリ浸出法とは
Metso社のアルカリ浸出法は、アルカリ性の溶液を用いてリチウムを精鉱から抽出する技術です。この方法では硫酸を使用しないため、副産物の発生が少なく、また化学的に安定した残渣を生成します。この残渣は建築資材として再利用可能であり、環境に優しい選択肢となります。さらに、従来の技術よりも設備がシンプルであるため、初期投資や運転コストの低減も実現可能です。
日揮とMetsoのシナジー
日揮は、設計・調達・建設(EPC)分野で広範な経験を有しており、非鉄製錬関連技術でも確かな実績を持っています。特にニッケル精錬技術では、難易度の高いプロジェクトを成功裏に納入した実績があります。この背景を活かし、日揮はMetso社とのパートナーシップを通じて新たなビジネスチャンスを探ることを目指します。
具体的には、Metso社が技術的な支援を行い、日揮グローバルが日本や東南アジア、中東地域での営業活動を強化します。また、フィージビリティスタディ(FS)や基本設計(FEED)の提案を通じて将来的なEPC業務やオペレーション&メンテナンス(O&M)での協業も検討されます。
持続可能な未来へ向けた取り組み
今後、日揮グループはMetso社と協力し、持続可能なリチウム精錬ソリューションを提供することで、重要鉱物の安定供給を実現し、低炭素社会の実現に貢献していく所存です。このMOUを契機に、両社の連携が強化され、環境に優しい産業の発展に寄与できることを期待しています。
この協業は、リチウム需要の高まりに応える新たな一歩であり、業界全体に大きな影響を与える可能性があります。今後の展開に注目が集まっています。