トランプ関税合意の影響と企業評価
株式会社帝国データバンクが実施したアンケート調査の結果によると、トランプ関税に関する日米間の合意を評価する企業は少数派で、多くの企業がその内容に不明点を抱えています。調査は2025年8月1日から8月5日までの間、1,184社を対象に行われました。
短期的影響の見通し
調査によると、トランプ大統領が発動を予定していた25%の相互関税が15%に引き下げられることで、企業の37.7%が「マイナス影響がある」と応答しています。一方で、36.9%は「影響はない」と見込んでおり、これらの結果から短期的な影響は企業内で分かれることが見受けられます。また、わずかに0.9%の企業が「プラス影響がある」と回答しましたが、その割合は非常に低いです。
24.5%の企業は「分からない」としており、今後1年以内の見通しには不確実性が依然として残っています。
中長期的な影響の懸念
さらに、中長期的な影響について尋ねたところ、42.9%の企業が「マイナス影響がある」と回答しました。特に、影響なしと回答した企業の割合は18.2%と低く、企業の不安感が高まっていることがうかがえます。また、「分からない」企業が37.2%に上ったのも注目すべき点です。
これらの結果は、短期的には影響を感じない企業が多い一方で、時間をかけて状況が悪化する可能性を示唆しています。このことから、企業は徐々にトランプ関税の影響を懸念し始めていると言えるでしょう。
日米合意への評価
日米合意に関する評価も興味深い結果となりました。「評価しない」と回答した企業は28.1%で、「評価する」とした企業の16.0%を大きく上回っています。54.3%の企業が「どちらともいえない」とし、これまでの合意内容への不透明感が際立っています。
評価する意見を持つ企業の中には、「早期の妥結を評価する」とする声がありますが、
評価しない意見を持つ企業は合意内容の具体性不足に疑問を呈しています。
具体的には、飲食店を営むある企業は「関税の15%という数字自体は仕方ないが、投資内容やプラス条件の詳細が不明確」と述べており、その曖昧さが企業活動に影響を及ぼすことを懸念しています。
一方、不動産業や電気機械製造の企業からは、将来的な不透明さが評価の足かせになっているといった意見も聞かれました。
結論
今回の調査結果から、トランプ関税の新たな合意内容は企業にとって複雑な状況を引き起こしています。短期的にはほとんど影響がないとする企業が多いものの、中長期的には「マイナス影響がある」との意見が増加しており、先行きに対する不安が強まっています。さらに、不透明な合意内容に対する評価も分かれており、今後の状況に影響を与える可能性があるため、企業は注意が必要です。
政府においては、合意内容の具体化や中小企業への支援策が急務とされる中で、経済対策がどのように展開されるのかが注目されています。