日清製粉が新たに開発した小麦品種「芽系21001」
日清製粉株式会社とそのグループ企業である日清製粉ウェルナが、農研機構と共同で新しい小麦品種「芽系21001」を開発しました。これはパスタに特化した国産普通系小麦で、これまで輸入小麦に依存していた市場に新風を吹き込むことが期待されています。
1. 開発の背景
日本のパスタ市場は、主に海外から輸入されるデュラム小麦に依存しています。この小麦は粉にすると濃い黄色を持つため、パスタ製造に適していますが、日本特有の気候条件では安定した生産が難しいという問題がありました。特に、収穫期の天候が不安定で、穂発芽や赤かび病のリスクが高まるため、国産小麦の普及が遅れていました。
そのため、日清製粉と日清製粉ウェルナは農研機構との協力を進め、穂発芽耐性や赤かび病抵抗性を備えた新しい小麦の開発を行いました。「芽系21001」はデュラム小麦に匹敵する優れた食感と色合いを持つことが特徴です。
2. 芽系21001の特性
この新たな小麦品種は、北海道農業研究センターでの試験により、パン用小麦品種「ゆめちから」と同等の収穫量が期待されることが確認されています。さらに、穂発芽耐性に優れ、赤かび病にも強いため、農業生産者にとって魅力的な選択肢となります。
「芽系21001」を使用した小麦粉は、強い生地感とパスタらしいプリっとした食感を持っており、見た目にも濃い黄色を呈して、デュラム小麦で作られた乾燥パスタに匹敵する品質です。
3. 今後の予定
日清製粉グループは、今後パスタ向けの小麦を本格的に国内で生産するために、試作栽培を進め、新たに国産パスタ製品を市場に投入する計画です。これにより、日本国内における食の自給率の向上と、国産食品の普及が期待されます。
4. 結び
「芽系21001」の登場は、国産パスタ市場において新たな選択肢を提供し、食品業界全体に変革をもたらす可能性を秘めています。国産小麦によるパスタの普及を通じて、新しい食文化が育まれることを期待しています。