蓄電コンクリートの進展と新たな一歩
2023年9月25日、福島県浪江町にて、𝘁𝗵𝗲 𝑓𝑖𝑟𝑠𝑡 𝗹𝑖𝑔𝑡𝑖𝑛𝑔 𝗼𝑓 𝑡ℎ𝑒 𝗱𝑒𝑙𝑞𝑢𝑒𝑡𝑒𝑟𝑖𝑐 𝑐𝑜𝑛𝑐𝑟𝑒𝑡𝑒が開催されました。これは蓄電コンクリートの研究開発の一環であり、米マサチューセッツ工科大学(MIT)との共同プロジェクトの成果を示す重要なイベントとして位置づけられています。
この日のイベントでは、蓄電コンクリートの標準モジュールが初めて公開され、点灯式が行われました。この技術は、環境に優しい電力蓄積の新しい形態を提供する可能性を秘めています。それに加え、全国の主要コンクリートメーカーや関連企業が集う「蓄電コンクリート工業会」が正式に設立され、今後の普及体制が整いました。
蓄電コンクリートとは?
蓄電コンクリートは、炭素微粒子であるカーボンブラックを混入したコンクリートで、電子的な特性を持ちます。この特性により、従来のコンクリートの物理的な特性を保持しつつ、電力を蓄積することができます。具体的には、カーボンブラックを添加したコンクリートを使用して、スーパーキャパシタとして機能させることで、電力の蓄積と放出が行えます。
この標準モジュールは、45センチの電極と電解液を使って、約1Vのエネルギーを生成し、これを重ねることで約25Vに達するユニットを形成します。さらに、4基を接続することで、100V級の高出力を実現できます。
社会実装の第一歩
蓄電コンクリート工業会の設立は、2024年4月に始まった研究開発コンソーシアムの活動から派生したものであり、国際的な協力に基づく日本独自の技術革新の象徴です。工業会に加入する企業は、これまでの研究成果に基づいて、今後の蓄電コンクリートの社会実装に向けた具体的な計画を策定します。
また、この日のイベントで使用された電力は、トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」によって供給され、浪江町における太陽光発電を利用して製造された水素から得られたものでした。このように、再生可能エネルギーの利用はプロジェクトの中核を成しており、2050年までの脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環となっています。
今後の展望
蓄電コンクリート技術は、温室効果ガスの排出を抑え、住宅やインフラのデザインにおいて新たな可能性を開くものとされています。工業会では、全国規模での供給体制の確立を目指し、再生可能エネルギーの効率的な蓄積と供給を実現するための産業連携を進めます。
この取り組みは、国際的な文脈でのエネルギー問題に対するソリューションを提供し、社会全体における持続可能な未来を築くための重要な一歩と考えられています。