教育現場に革命をもたらすAIシステム
国立大学法人東京学芸大学と株式会社カナメプロジェクトが連携し、教育用AIフィードバックシステム「教育用AIフィードバック with KanameEngine」を開発。このシステムは、AIを活用して自動的に学生のレポート等にフィードバックを提供するもので、導入されることで教育現場における負担軽減を目指しています。
開発の背景
東京学芸大学では「教育のためのデータサイエンス」という授業が行われており、1,000名以上の学生がこのクラスを履修しています。毎回のレポート提出に対し、教員やティーチングアシスタントが個別にコメントを行うのは、時間的にも工数的にも非常に厳しいものでした。この状況を改善するために、カナメプロジェクトはAIを用いて効率的かつ効果的にフィードバックができるシステムを構築し、授業に導入したのです。
実際の運用と結果
教育のためのデータサイエンスの授業でAIフィードバックを実施したところ、学生からは以下のようなポジティブな反応が寄せられました。
- - 自分の理解度を確認できた
- - 学ぶ意欲が向上した
- - 授業内容の振り返りに便利だった
- - 自分の意見を評価されて承認感を得た
これらの利用者の声は、AIフィードバックの効果を明示しています。しかし、同時に以下のような改善点も挙げられました。
- - フィードバックが長文過ぎて読みづらかった
- - 機械的な印象を受けた
- - 細かいニュアンスが十分に理解できなかった
このように、AIの可否や限界も認識され、教員の負担軽減に寄与しつつ、完全な代替とはならないということが明らかになりました。
システムの概要と使い方
このAIフィードバックシステムは、Googleスプレッドシートを用いて簡単に操作が可能です。まずは専用のスプレッドシートに授業情報を入力し、その後レポート内容を入力します。上部の「フィードバック生成」ボタンを押すことで、AIによるフィードバックが一括生成されます。システムは、特に「GPT-4o」と「Command-R+」の2つのAIモデルから選択可能で、教育現場のニーズに応じた利用が促進されています。
今後の展望
このシステムは、教育現場におけるAI活用の先駆的な試みとして期待されています。今後は、ユーザーからのフィードバックを元にシステムの改善を図るほか、オンライン座談会などのイベントも予定されています。また、「教育用AIフィードバック with KanameEngine」は広く一般の方にも利用してもらうために公開されています。興味のある方は、指定の利用申込フォームから登録できます。
教育現場におけるAI技術の進化は、今後も注目が集まるテーマです。これによって、学生の学びの質が向上し、教員の負担が軽減されることを期待して、参加者の活用事例を元にさらなる発展を遂げていくことでしょう。