ユーザベース、Kong AI Gateway導入でAIエージェント対応を加速
株式会社ユーザベースが提供するB2Bデータサービスにおいて、Kong株式会社の「Kong AI Gateway」を導入し、AIエージェント対応を迅速に実現する新しい潮流を生み出しました。この革新的な取り組みにより、ユーザベースはAIエージェントが既存APIを安全かつ効率的に活用できる環境を整備し、企業の意思決定を支援する新しい枠組みを構築しています。
背景と目的
ユーザベースは、企業や業界に関する情報を提供する「Speeda」など複数のB2Bデータサービスを展開しており、生成AIの普及を受け、ユーザーから信頼性の高い情報に基づく迅速な意思決定が求められています。近年、企業は自社の業務アプリやAIエージェントを通じてSpeedaのデータに直接アクセスするニーズが高まっており、そのための基盤整備が進められています。このような背景から、ユーザベースは「Speeda AI Agent」プロジェクトを始動し、MCP(Model Context Protocol)を用いた新たな連携基盤の整備を進めてきました。
導入の経緯と課題
ユーザベースの歴史的な課題として、スピーダ事業では各APIとAIエージェントを個別に接続するという方法が採用されていました。しかし、AIエージェントに対する接続ニーズの急増により、50以上のAPIに対してそれぞれMCPサーバを構築・運用する複雑さが生じ、これが開発者のリソースに負担を与える結果に。こうした課題を解消するため、MCP対応を標準化し効率的にオフロードできる仕組みが必要とされたのです。
Kong AI Gatewayの選定理由
KongのAI Gatewayは、既存APIをノーコードでMCP対応できる優れた機能を備えていることから採用されました。以下にその特徴を挙げてみましょう:
- - ノーコード実現:プラグイン設定のみでMCP化でき、開発・運用が大幅に効率化。
- - 一元管理:約50のMCPサーバを効率的に構築・管理できるため、柔軟に仕様変更に対応可能。
- - 拡張性:プロトコルの更新に迅速に追従でき、将来的な変更にも適応可能。
- - 運用のスムーズさ:既存のKong OSSの経験を活かし、学習コストを抑えながらの移行が実現。
これにより、ユーザベースは他社製品と比較して圧倒的なスケーラビリティと運用の効率性を享受できると判断しました。
未来展望
新サービス「Speeda AI Agent」を通じて、ユーザベースはAIエージェント技術の活用を広げ、更なるサービス拡張を図ります。
- - 外部企業との連携強化:外部企業のAIエージェントにも安全にデータを提供する環境を整えることで、利用の幅をさらに広げます。
- - 柔軟な料金制度:エージェント連携やデータ利用に応じ、価格体系を見直し、多くの企業がAIエージェントを通じてデータを利用できる環境を整えます。
- - スケーラブルな基盤整備:数十規模のMCPサーバを計画的に設置し、AIエージェントとAPIの接続を円滑に進めます。
ユーザベースがKongのAI Gatewayを活用して新たな情報アクセスモデルを築くことで、信頼できる情報をより多くの企業に届け、データ活用の価値を高めていくことを目指しています。さらに、Kongのサポートにより、グローバルな技術力を利用しつつ、日本市場でも競争力を強化していくとのことです。
株式会社ユーザベースのSpeeda事業執行役員CTO、林尚之氏は「MCP対応基盤の整備にKong AI Gatewayを用いたことで、開発チームが本来の機能開発に集中できる環境を整えることができました。今後、AIエージェントを通じて信頼性の高い情報アクセスを実現していきたい」と強調しています。