三菱電機の宇宙計画
2025-08-21 15:50:20

宇宙用太陽電池の国産化へ向けて三菱電機が技術開発に着手

三菱電機が宇宙用太陽電池を国産化へ



2023年、三菱電機株式会社が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する宇宙戦略基金の代表機関に選定され、国産太陽電池セルやカバーガラスの開発に取り組むこととなりました。このプロジェクトは、衛星サプライチェーンを強化するためのもので、急速に拡大する衛星市場に対応するために必要な技術革新が求められています。

宇宙市場の現状と課題


近年、低軌道衛星コンステレーションの導入が進む中、宇宙用太陽電池セルやそれを守るカバーガラスの需要が急増しています。しかしながら、世界的な供給不足が影響し、価格が高騰したり納期が長くなったりするなど、業界全体が抱える課題が山積しています。これに対処するため、三菱電機は国内の専門企業と連携し、量産可能で低価格の太陽電池セルの開発を進めるのです。

技術開発の目標と取り組み


本技術開発では、太陽電池技術において高い専門性を有する国内企業との協力によって、ペロブスカイト構造やCIGS(銅インジウムガリウムセレン)をベースとした新たな太陽電池セルの開発に挑戦します。特に、ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池セルは、従来の製品と同等の変換効率を持ちながら、宇宙放射線に対する耐性が高く、効率が維持しやすい特性を持っています。この技術革新は、柔軟性と軽量性も兼ね備えた太陽光パネルの実現に貢献します。

パートナー企業の役割


三菱電機は、太陽電池セル分野での高い技術力を誇る株式会社PXPと連携して、これらの技術を宇宙環境に適用することを目指しています。PXPは2020年に設立された企業で、従来の太陽電池よりも容易に製造できる次世代の技術を持つ企業です。このコラボレーションにより、性能とコストに優れた太陽電池セルを開発し、持続可能な宇宙産業の発展に寄与することが期待されています。

社会実装への展望


三菱電機の研究代表者である浅野なつき氏は、プロジェクトの意義について「国産太陽電池セルとカバーガラスを搭載したアレイの社会実装を通じて、日本の宇宙サプライチェーンと国際競争力の強化に寄与できることを非常に嬉しく思います」と述べています。実施期間は2025年から2031年までとなっており、国内製品への供給を通じて、活発な宇宙開発の推進を図ります。

未来への期待と発展


本プロジェクトは、三菱電機が持つ先端技術と計画的な研究開発を通じて、国産の宇宙用太陽電池セルの実用化を加速させるものです。これにより、日本の宇宙産業の自律性や競争力を支えることができるでしょう。さらに、様々な国産衛星向けにこれらの製品を提供することで、より活発な宇宙開発の実現を目指します。未来の宇宙産業における日本の役割がますます重要になる中で、三菱電機の取り組みに大きな期待が寄せられています。


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会社情報

会社名
三菱電機株式会社
住所
東京都千代田区丸の内2-7-3東京ビル
電話番号
03-3218-2111

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