子どもたちのための読書環境を整える新書『学校の読書バリアフリー』が刊行!
日本の学校図書館での読書環境は、まだまだ進化の余地があります。そこで登場したのが、全国学校図書館協議会理事長である専修大学文学部教授・野口武悟氏が編著した『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩 学校図書館10の事例』です。この本は、学校における読書バリアフリーに関する実践例と理論を平易にまとめた一冊として、多くの教育現場に影響を与えることでしょう。
読書バリアフリーとは?
多くの人が書籍を手にしていますが、残念ながらその享受は全ての人に及ぶわけではありません。特に視覚にハンデのある方にとって、従来の書籍はアクセスの難しさがあります。点字図書や録音図書は一部存在しますが、まだまだ普及が進んでおらず、環境が整っていないのが現状です。これを改善するために、2019年に施行された読書バリアフリー法が重要な役割を果たしていますが、実際の環境整備は思うように進んでいません。
学校での状況
学校図書館における読書バリアフリーの実現は、公共図書館に比べて遅れています。これは、「読書バリアフリー」が何か、具体的にどのように取り組むべきかが十分に理解されていないことに起因しています。本書は、そのような現場の疑問や問題に直接応える形で構成されており、実際の事例をフルカラーで紹介。具体的な一歩を踏み出すためのガイドとなる内容が目白押しです。
内容の魅力
この本は三章構成となっており、まず第一章では「読書バリアフリー」の基本的な概念とその必要性を解説し、どのようにそれを学校現場で実現していくかの方法を提示しています。
第二章では、さまざまな学校の実際の事例を通して、具体的な取り組み方を示しています。これにより、他の学校での成功事例を参考にし、自校でも実行できる方法を学ぶことができます。
最後の第三章では、教育現場が直面する疑問をQ&A形式で取り上げ、具体的な解決策を提示。教育現場での実践に直結する内容になっています。
市川沙央氏の推薦
本書は、芥川賞受賞作家の市川沙央氏からも推薦されています。彼女は「みんなが読める」を理想として掲げ、その実現に向けた努力を呼びかけています。子どもたちが笑顔で「読めた」と言えるような環境の大切さを強調し、本書がその一助となることを願っています。
実際の実践例
書中では、さまざまな学校で実際に行われている取り組みを紹介しています。例えば、視覚障害のある子どもへの支援として、読みやすい環境づくりや、道具の整備が挙げられています。また、多様な子どもたちが読書を楽しむための環境を作るための具体的な道筋が示されています。
本書を通じて
『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩』は、教育関係者が今後の方針を考え、実際の行動に移すための大きな手助けとなる一冊です。ハードルの低い読書環境の整備は、先生や保護者、そして何より子どもたちの未来につながる活動です。この本を手に取り、ぜひ新たな一歩を踏み出してみてください。