日本酒蔵が挑む新時代のウイスキー
日本酒とウイスキー、異なる蒸留酒なのに、なぜ日光街道 小山蒸溜所は肩を組んでいるのでしょうか?その答えは、1872年に遡ります。西堀酒造株式会社は、長い歴史と伝統を有する日本酒蔵でありながら、2022年からウイスキー製造に本格的に乗り出しました。その革新的な取り組みが、2025年8月3日に開催された東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2025において「イノベーター・アワード・オブ・ザ・イヤー」に輝くという快挙を成し遂げました。
日本酒の哲学をウイスキーに移し替える
西堀酒造の六代目蔵元・西堀哲也氏は、その理念として「私たちの原点は日本酒です。その精神性・手仕事・風土と向き合う姿勢を、世界の酒文化に重ね合わせ、新たな形で表現したい」と語ります。この言葉から感じるのは、日本酒蔵としての矜持が根底にあるということ。単なるクラフトウイスキーではなく、精緻に設計された「真のジャパニーズウイスキー」を目指しているのです。
彼らの最新ブランド「哲 -TETSU-」は、そうした哲学的探求を具現化したもの。明確な設計思想に基づいた製法と日本の発酵文化をもとに、独自の味わいを生み出しています。
TWSC2025での受賞と新商品の発表
日光街道 小山蒸溜所が受賞した「イノベーター・アワード」は、アジア最大級の蒸留酒品評会であり、これが彼らの努力の証です。受賞の要因は、酒造りに対する哲学と独自性、それに加えて、製造工程での革新性にあります。例えば、伝統的な日本酒の製法を蒸留に応用した酵母培養法や、独自開発の減圧蒸留器、そして杉の和樽を使用した熟成技術など、そのすべてが「なぜこの味なのか」という問いに対する明確な回答を示しています。
さらに、10月には「哲 -TETSU-」シリーズの正式リリースが予定されています。このシリーズは、小山エディション、日光エディション、日光東照宮献上ウイスキーの合計4種類で構成されており、日本酒蔵ならではの技術が詰め込まれています。
商品ラインナップ
1.
哲 小山エディション 2025〈シングルモルト〉ザ・ファースト
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価格: ¥16,000(税抜)
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内容量: 700ml
- 日光特有の自然環境下で育まれた原酒を使用。
2.
哲 日光エディション 2025〈ブレンデッド〉ザ・ファースト
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価格: ¥18,000(税抜)
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内容量: 700ml
- 和樽熟成を経た日本の精神を反映した一品。
3.
哲 日光東照宮 献上〈シングルモルト〉2025 御神木杉和樽エディション
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価格: ¥285,000(税抜)
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内容量: 700ml
- 限定400本。
4.
哲 日光東照宮 献上〈シングルブレンデッド〉2025 御神木杉和樽エディション
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価格: ¥100,000(税抜)
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内容量: 700ml
- 限定600本。
これらのウイスキーは、技術と哲学が結実した作品です。日光東照宮から許可を得た御神木を用いた木箱が付属され、非常に特別なアイテムとなっています。
今後の展開
9月からは予約受付も始まる予定で、流通パートナーを通じて展開するとのこと。特に、献上ウイスキーは特約酒販売店のみでの流通となります。西堀酒造は、誰もが納得する「日本らしさ」を求めて今後も挑戦を続けていく姿勢を見せています。
さらに、2025年9月28日には、JR小山駅にてウイスキーセミナーやテイスティング会も予定されています。このイベントを通じて、哲学や味わいについて直接触れる機会となるでしょう。酒蔵の歴史を感じながら、日本独自のウイスキー文化を体験できるこの機会をお見逃しなく。
まとめ
日本酒蔵としての長い歴史を持ちながらも、ウイスキーに新たな風を吹き込んでいる西堀酒造。新ブランド「哲 -TETSU-」は、まさに時代のニーズに応えるものであり、日本の酒造文化を未来へつなぐ重要な作品となることでしょう。彼らの探求は、これからのウイスキー界にどのような影響を与えていくのか、期待が高まります。