高校生が描く新たな水産業の未来
2025年12月22日、宮城県塩竈市にて現役の高校生たちによる「合同会社ツナらいふ」が、ふるさと納税の返礼品として、「マグロ解体体験」を提供することが発表されました。生鮮マグロの水揚げ日本一を誇るこの地域の魅力を、体験を通じて広めたいという思いから始まった取り組みです。
現役高校生が起業した背景
合同会社ツナらいふは、女子高校生6名によって構成されています。彼女たちは小学生の頃から塩竈市の「さかな丸ごと食育」に参加し、魚の捌き方や調理法を学びながら、地域の水産業に触れてきました。活動は中学生になっても継続し、塩竈市の伝統的な郷土料理をリニューアルするプロジェクトにも取り組みました。特に「塩竈汁」をベースに、マグロの端材を活用した「NEW塩竈汁」の開発は、地域に新しい風を吹き込んでいます。
彼女たちは、「このまま活動を終わらせてはいけない」と感じ、同じ志を持つ仲間と共に「つながーる」という団体を結成。そして令和7年度、新たに「合同会社ツナらいふ」として法人を設立し、地域とのつながりを未来に続けることを目指しています。
マグロ解体体験の内容
「マグロ解体体験」は、塩竈市の水産文化を直接体感できるアクティビティです。この体験を通じて、参加者はマグロの解体を見学し、実際にその魅力を五感で味わうことができます。解体されたマグロは、大トロや中トロ、赤身に加え、希少部位も自由に楽しむことができ、また解体後には魚市場のミュージアムも見学可能です。
この体験は、9月中旬から11月下旬の間に開催され、マグロが最も美味しい旬の時期に行われます。参加者は、魚市場の開場時間内で自分の希望に応じた時間に体験できるので、主催者が寄附者のニーズに応じて調整します。
そして、活動の背後には高校生たちの強い思いが込められています。代表者の一人は、彼女の父が水産業に従事している影響を受け、漁業の重要性を理解するようになったと感じています。生産者の思いや地域の歴史を学び、魚を通じて多くのことを伝えたいという情熱が、起業の原動力となっています。
手応えと今後の展望
ツナらいふの取り組みは少しずつ地域に広がりを見せており、今後は入会予定の水産振興協議会を通じて、さらなる活動を計画しています。加えて、地元水産業を活性化する流通の仕組みを構築し、魚食普及のイベントにも参画する方針です。
今回のマグロ解体体験は、塩竈市の未来に向けた第一歩です。若い世代が地域の資源を活用し、次世代に何かを形として残していくことができるのか、その挑戦はまだ始まったばかりです。
彼女たちの熱意が、塩竈市の水産業の未来を切り拓くための大きな一歩となることを切に願います。