パナソニックとヤンマーが合弁会社を設立
日本の大手企業であるパナソニックとヤンマーが、業務用空調に関連する新たな一歩を踏み出します。両社はガスヒートポンプエアコン、通称GHPの室外機の開発と製造を行う合弁会社を2025年4月に設立することで合意しました。この協業は、円滑な開発と生産を進め、次世代低炭素エネルギーの実現に寄与することを目指しています。
GHPの特長とメリット
GHPはガスエンジンを駆動源として使用し、効率的にコンプレッサーを動かす業務用空調機器です。電気式のヒートポンプエアコンと比較して、消費電力は約10分の1に減少するため、夏場の電力需要ピークを抑制することが期待されます。さらに、最近ではガスエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド空調も導入されており、空調の需要に応じて消費エネルギーを管理できます。
このハイブリッドモデルは、1次エネルギーのバランスを整え、運用コストの削減にもつながります。また、災害時の避難所や企業のBCP(事業継続計画)対策に効果的な電源自立型の商品もラインナップされており、停電時に発電を行いながら空調と照明などの電気機器を使用可能とします。
会社設立の背景
パナソニックは1985年、業界初のGHPを開発し、その後ヤンマーエネルギーシステムも同時期に参入しました。この数十年にわたり、両社は高い技術力と豊富なノウハウを蓄積し、ガス空調業界で確固たる地位を築いてきました。
今回の合弁会社設立は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた強い意志を反映しています。特に、2022年からはマイクロコージェネレーションシステムの熱利用を業務用空調機に取り入れる分散型エネルギー事業で協業しており、この流れをさらに強化します。両社はそれぞれの技術を持ち寄り、共通の設計を行うことで、製品の開発期間短縮や部品の内製化率向上を図ります。
今後の展開
合弁会社の名称は「パナソニック・ヤンマーGHP開発製造株式会社」とし、本社は群馬県に置かれる予定です。設立時期は2025年4月を予定しており、資本金は9000万円、出資比率はパナソニックが51%、ヤンマーが49%となります。2026年春には、この合弁会社が手がけるGHP室外機の発売を目指しています。なお、両社のブランドや販売、サービスは従来と変わらず、それぞれで継続されます。
最後に
パナソニックとヤンマーは、エネルギー効率の向上と環境への配慮を両立させることを目指し、この新たな挑戦に取り組んでいます。両社の取り組みが進む中で、より持続可能な社会の実現に向けて大きな一歩となることが期待されます。