原研哉初のスケッチ・ドローイング集『DRAW』日本語版が登場
デザイナー原研哉による手描きのスケッチやドローイングを集めた書籍『DRAW』が、待望の日本語版として2024年12月24日(水)に刊行されます。この本は、スイスの出版社Lars Müller Publishersから発売された英語版が大きな話題を呼び、ついに日本でも手に取れることになります。
本書の特色
本書は、原研哉がデザインの根源的な部分を探求する一環として、彼の思考過程や活動の変遷をスケッチを通じて辿ることができる貴重な資料です。原の言葉を借りると、スケッチは「頭の中に去来している不安定な着想を、この世界の次元に引っ張り出す営み」であるとのことです。この観点から見ると、『DRAW』は原自身の創造的な探求を形にしたものだと言えます。
原研哉(1958年生まれ)は、その幅広い活動の中で無印良品のアートディレクション、オリンピックや万博のデザインプロモーションなどを手がけてきました。本書では、ロゴやポスター、展覧会、書籍など、彼の多彩なデザインワークがスケッチの形で収められており、彼の思考の根源を探る手助けとなります。
アートディレクションとデザイン哲学
本書は、原自らがアートディレクティングも手がけているため、仕様や紙面デザインに至るまで原研哉のデザイナーとしての思考が色濃く反映されています。さらに、原のデザイン哲学についても言及したテキストも収録されており、読み応えのある構成となっています。
例えば、2005年に愛知万博のシンボルマークをスケッチする際に感じ取った自然の叡智について語る原の言葉は、彼のデザインに対する深い理解を感じさせます。描かれたスケッチの中には、本書のテーマや形に対する彼の考察が垣間見えるものも多く、非常に興味深い内容です。
原研哉の根源
「人間の血液の成分と海水の成分は酷似している」「人間は海かもしれない、あるいは、人間の中に海がある」など、原は自然や人間存在についての深い観察を通じて自らのデザインを探求しています。これらの考えは、さまざまなデザインにおいても表現されており、スケッチの背後にある意味を知る手助けとなるでしょう。
最終的に、本書は原のデザインに対するアプローチ方法や思考プロセスを理解するための優れた機会を提供しています。彼のスケッチを通じて、私たちはデザインという営みの複雑さや美しさを感じ取ることができるのです。
まとめ
『DRAW』の日本語版は、これからデザインの世界に興味を持ち始める人々にも、すでにデザインに触れている人々にも、新たな視点を持たせてくれることでしょう。特に、デザインの過程や哲学に興味のある人にはぜひ手に取ってほしい一冊です。
本書の発売に合わせて、原研哉の作品について一層深く考察する機会が増えることでしょう。日本のデザイン界における重要人物の一人である彼のプロジェクトが、今後どのように進化していくのかにも期待が寄せられます。この臨場感あふれるスケッチ集は、これからのクリエイティブにインスピレーションを与えることでしょう。