持続可能な森林づくりへの新たな挑戦
久万造林株式会社と株式会社日立システムズが、新たに開始した協創プロジェクトは、持続可能な森林づくりを目指してJ-クレジット創出に取り組むものです。2024年6月には、愛媛県で初となる私有林を活用したプロジェクト登録が承認されました。このプロジェクトは、久万造林の約200ヘクタールにおよぶ私有林を対象とし、様々なデータ解析技術を駆使して進められます。
プロジェクトの目的と背景
気候変動による異常気象や自然災害が増加する中、日本は2050年までのカーボンニュートラル達成を現実的な目標にしています。その実現のためには、企業間の温室効果ガスの排出・削減を売買可能にする「カーボンクレジット」の仕組みが不可欠です。J-クレジット制度は、日本政府が認証するクレジット制度であり、森林管理を通じたCO2吸収量を測定することが可能です。
このような背景の中で、久万造林が持つ知識と日立システムズのデータ分析力が融合し、持続的な森林保全とCO2吸収の促進が期待されています。
プロジェクトの実施内容
久万造林は、150年以上の歴史を持つ企業であり、森林経営活動における専門性を生かし、プロジェクト登録のためのデータ作成を進めています。一方で、日立システムズはそのデータ分析能力を用い、スピーディーな登録を実現しています。
プロジェクトの一環として、航空レーザ解析技術を用いて、森林の状態や変化をモニタリングします。このモニタリングデータは、クレジット創出の基礎資料となります。J-クレジット創出が進めば、収益を森林保全に充てる循環が生まれ、地域社会やエコシステムにも貢献します。
未来へのビジョン
このプロジェクトは、2023年4月から8年間の間に、6,000トン以上のクレジット創出を見込んでいます。また、今年度中に700トン以上のクレジットを創出・販売する計画です。日立システムズは、得た知見を生かし、新しいサービスの提供を通じて、全国の森林管理者を支援していく方針です。特に、ドローンを用いた森林調査を行い、手軽にクレジットを創出できる仕組みを構築するとのことです。
地域と環境への貢献
久万造林は「100年、200年続く森林づくり」を目指し、多様な樹種を育成する新たな林業の形を模索しています。カーボンクレジット制度を通じて森林の価値を高め、地域の人々や自然がともに豊かになることを願っています。
今回の協創プロジェクトは、森林の持続可能な管理を通じて、地域経済の活性化や環境保全の一助となることが期待されています。愛媛県の森林が、このプロジェクトを通じてどのように変わっていくのか、今後の展開に注目です。