JR東日本グループの「インパクトブック」
インパクトサークル株式会社が策定した「インパクトブック」は、JR東日本グループとその投資先である株式会社ドッツアンドラインズが連携し、地域社会における共創事業の成果を示す新しいツールです。これにより、地域経済や社会にどのような影響を与えているかを可視化し、説明力の向上や地域との関係深化を目指します。
1. 背景と目的
地域スタートアップへの経済投資は、JR東日本グループが取り組んでいる重要な施策の一環です。本プロジェクトは、その投資の成果や意義を社内外に伝えることを目的にスタートしました。インパクトサークルは、一定の実績を持ち、これまで多くの企業に対してインパクトの可視化を支援してきたことから、今回のプロジェクトでもそのノウハウを活用しました。
特に、本プロジェクトでは、単なる資金提供だけでなく、駅の空間を活用した施策や共創の機会を提供するといった多角的な支援が行われています。これにより、地域の行政やその他のステークホルダーとの連携を強化し、共通の目標に向けて進む「コレクティブインパクト」を実現しようとしています。
2. 実施内容とステップ
プロジェクトは以下のステップで進められました。
1. 地域課題の明確化
燕三条地域での中小企業連携問題を抽出し、各企業が共に目指すビジョンを策定しました。「JRE Local Hub 燕三条」を拠点に、ドッツとJR東日本グループの支援により地域企業間の結びつきが強化されています。
2. アウトカムの指標化
企業間のコラボレーションによる新商品の誕生や新規案件の獲得など、短期および中期の成果を具体的な数値で示すことに成功しました。これにより、データの定量・定性に基づいた評価が可能になりました。
3. 定性的インパクト調査
「ものづくりコンシェルジュ」プログラムの会員企業に対してのインタビューを行い、その成果をストーリー形式で収集。これにより、「人的インパクト」も可視化されています。
4. インパクトブック制作
最終的に、収集したデータやストーリーを写真や図解と共にまとめ、「インパクトブック」として仕上げました。このブックは社内でのプレゼンテーションだけでなく、営業や広報の活動でも活用されます。
3. プロジェクトの成果
1. 投資意義の共有
プロジェクトにより、JR東日本グループ内での投資活動に対する理解が深まりました。特に、直接関与していない部門でも共通の認識が広まったことは大きな成果です。
2. 地域ステークホルダーとの関係強化
インパクトブックが行政や経済団体との新たなコミュニケーションツールとして用いられ、地域の多様なステークホルダーとの関係構築に役立っています。
3. 投資先への説明力向上
将来的な投資候補とのコミュニケーションにおいても、このブックは強力なサポートツールとなり、非財務的側面を強調することで、深い理解と信頼を生む要因となります。
4. 今後の展開
インパクトサークルは本プロジェクトの成果をもとに、共創型プロジェクトのインパクト可視化を今後も進行させる計画です。また、VCやCVC向けのインパクト戦略の構築、さらには多様なコンテンツを用いたコミュニケーションを強化する方針です。これにより、地域企業間での連携や社会的意義の再確認を図り、地域に価値を還元する努力を続けていきます。