企業のDX化実態調査：理解不足と導入の現状

株式会社識学が実施した「企業のDX化に関する調査」によって、企業におけるデジタルトランスフォーメーション（DX）の現状と課題が明らかになりました。この調査では、20代から50代の会社員を対象に、DXの理解度や実際の導入状況について聞いています。

まず、回答者の過半数（50.8%）がDXという言葉自体を「知らない」と回答。この結果から、DXはまだ広く理解されていない用語であることがうかがえます。一方、実際にDXを導入している企業は22.9%で、多くの人が自分の勤務先におけるDXの進捗を「わからない」と回答しています。この情報は、DXが言葉として存在している一方で、その実態がまだ浸透していない現状を示しています。

調査によれば、実際に導入されているDXの技術としては「人工知能（AI）・機械学習（ML）」が31.0%を占めており、続いて「クラウドコンピューティング」が30.7%、「ビッグデータ分析」（22.0%）、さらに「IoT（モノのインターネット）」（21.7%）という結果が出ています。

このような技術は、特に小売業や製造業において顧客情報の分析や品質管理の向上に寄与していますが、技術的な専門知識の不足や導入コスト、セキュリティリスクといった課題が存在することも浮き彫りになりました。具体的には、技術に対する専門知識の不足が43.4%、コストが35.7%、セキュリティリスクが35.0%という結果です。

調査の結果、導入した企業の65%はDX化において何らかの成果を経験しているとしています。業務の効率化やコスト削減、従業員の働き方の改善が多くの企業で確認されていますが、一方で「得られた成果が少なかった」とする意見も少なくありません。特に、AIやブロックチェーン技術をうまく活用できない企業もあり、ここには大きな課題が潜んでいます。

また、調査に参加した方からは、DX導入の成功例として「ペーパーレス化が進んだ」や「申請業務をシステム化したことで効率化が実現した」といった意見が寄せられました。その反面、失敗談としては「予想以上のコストがかかり、開発費用をペイできない」といったものが多く見られました。

今回の調査を通じて、企業がDX化において直面する課題として「コスト」が最も高く挙げられる一方で、経営層の理解不足や専門知識の欠如も課題として認識されています。特に、DXが進む現代においては、技術を使いこなせる人材の育成が求められています。

経済産業省は2025年を見据えた「レガシーシステム」の問題を提起しており、今後の企業発展においてDX化は不可欠な要素となるでしょう。そのため、企業はDXの理解を深め、自社がどのようにDX化を活用できるかを真剣に考える必要があります。DXの本質を理解することで、企業は未来の競争力を高めることができるのです。適切にDXを導入し運用することができれば、これからのビジネスの新たな可能性を広げることでしょう。