トルコ・ラオディキアで素晴らしい彫刻群が発見
トルコのデニズリ県ラオディキア市で、この地の考古学的な価値を伝えるスキュラ彫刻群が発掘されました。これらの彫刻はヘレニズム時代のバロック様式を基にしており、保存状態が非常によく、オリジナルの塗装が残っています。この発見は、トルコ文化観光省が進める「未来への遺産」プロジェクトの一環として進められています。
発見された彫刻には、神話に登場する美しい女性上半身と野犬の下半身を持つ怪物・スキュラの頭部、オデュッセウスの胴体、死んでしまった仲間の上半身が含まれています。また、オデュッセウスの船の舳先も見つかっています。これらの彫刻は、紀元前2世紀初頭にロードス島の彫刻家たちによって制作され、後にローマ時代に複製が作られたものです。
今回のスキュラ彫刻群は、古代には西洋劇場の舞台棟に展示されていたとされ、その展示が塗料の保存に寄与したと考えられています。一方で、宗教的な変化により、あるものは壊れて捨てられた歴史もあります。バロック様式の精巧さや、スキュラが持つボートのオールの塗料、さらにはスキュラに襲われた人物のリアルな苦痛の表情がその独自性を際立たせています。
古代文学の名作『オデュッセイア』にもスキュラとの出会いが描かれています。オデュッセウスはこの海の怪物に遭遇し、彼の仲間が野犬に襲われる悲劇が繰り広げられます。このように、発掘された彫刻群は文学的にも豊かな背景を持ち、観光客や研究者にとって興味深い対象です。
ラオディキア自体は、セレウコス朝の王によって築かれた都市で、交易の中心地として知られています。また、新約聖書に登場するラオディキア教会が存在することから、キリスト教の歴史的意義も持つ場所となっています。観光名所としての魅力も非常に高く、近隣のパムッカレ関連の遺産も観光客に人気です。
トルコは歴史的および文化的に豊かな国であり、さまざまな文明が交錯する場所として訪問者を魅了しています。2023年には約5,670万人の観光客が訪れ、2024年には日本との外交関係樹立100周年を迎えます。これを機に、トルコの魅力がさらに広がることでしょう。
観光庁はトルコの観光資源を国内外で周知させるため、様々なプロモーションやマーケティングを行っています。歴史的な魅力を持つこの地での発見は、古代の美術が持つ価値を再認識させ、今後の文化交流の一層の充実に寄与することでしょう。