石垣島で芽生える新たな農業の挑戦
沖縄県石垣市にて、合同会社かをり果樹園石垣が推進する新たな農業生産事業が注目を浴びています。特筆すべきは、世界でも前例のないドリアンの施設栽培を行うことで、日本初の商業生産を実現しようとしている点です。このプロジェクトは、トロピカルフルーツの生産を通じて地域の農業を活性化させることを目指しています。
多様なトロピカルフルーツの生産
かをり果樹園石垣は、ドリアンに加え、グアバやドラゴンフルーツ、スターフルーツ、さらには日本ではあまり一般的でないジャックフルーツなど、多岐にわたる熱帯果樹の栽培を計画しています。生産されたフルーツは「TROPICAUX(トロピコ)」というブランド名のもと、全国のスーパーマーケットや百貨店への提供を進めています。
この取り組みは、日本ドリアン普及協会の名誉会長であり、自身もドリアン愛好家の河野太郎デジタル大臣から「沖縄でドリアンを作れないか」との一言がきっかけとなりました。すでに5年前からマレーシアで培った栽培ノウハウを活かし、大学教授の指導を受けながら新たな生産様式を確立しています。
ドリアン栽培の背景
ドリアンは「果物の王様」とも称され、中国市場では巨額の需要が存在しています。現地では多様な品種が栽培され、国内外の需要が高まっていますが、日本国内ではまだ珍しい存在です。石垣島の温暖な気候は、トロピカルフルーツ栽培に理想的でありながら、これまで果実類の生産は低迷していました。
その中で、かをり果樹園石垣は、農業が持つ可能性を信じ、新たなモデルプランを提示することで、地域農業の発展に貢献しようとしています。特に、セカンドウェイブとしての果樹農業の振興を目指すことで、地元の農家たちに新しい選択肢と収益性を提供することを目指しています。
高品質な南国フルーツの提供
かをり果樹園石垣の理念の一つは、「高品質の南国フルーツをお手頃価格で提供する」ことです。最先端の栽培技術やIoT技術を活用し、効率的な生産管理を実施。農業が“稼げる”ビジネスであることを証明し、地域の経済を支える重要な役割を果たすことを目指しています。
栽培面積と生産量の向上
現在、約17,100㎡の面積で栽培を開始し、2028年には目標生産量50t、長期的には110tにまで拡大することを計画しています。メインの栽培品目として、ドラゴンフルーツやスターフルーツ、さらに日本初の商業的生産となるドリアンやジャックフルーツなどが挙げられます。
TROPICAUXブランドの展開
「TROPICAUX」は、石垣島で生産されるトロピカルフルーツのブランドとしてすでに東京都内のスーパーで販売が開始されています。厳選されたフルーツは、非破壊糖度計での糖度検査を経た後、品質管理を徹底しています。
また、選果から漏れた商品もアイスクリームなどの加工品として活用され、6次産業化を促進しています。さらに今後は、他の生産者とも連携し、共通のブランドとして広がりを見せることを目指しています。
未来に向けて
かをり果樹園石垣は、今後も地域農業の発展に貢献し、「稼げる農業」を可視化することで新しい農業のモデルを確立していくでしょう。特に、商業的なドリアン栽培は、石垣島から日本中へ新たなトロピカルフルーツの魅力を広める一歩となることが期待されます。