福岡市の若手経営者が挑戦する教育の場を提供
福岡市に新たな教育の風を吹き込む若手経営者たちがいます。歴史ある企業の後継者として重責を担う二人の経営者が、地域の公立小学校で特別授業を行い、子どもたちに「挑戦すること」の大切さを授けました。
共育パレット株式会社が運営する「SPOT TEACHER」は、企業の専門家が学校のニーズに応じた出前授業を提供する画期的なプラットフォームです。今回、明治創業の練り物店を受け継ぐ若手経営者、株式会社吉開の林田茉優さんと、株式会社博水の江越雄大さんが登壇し、福岡市内の公立小学校の6年生204名を対象にアントレプレナーシップ教育を行いました。
授業の目的と背景
今回の授業の背景には、失敗を恐れず挑戦する姿勢を教えたいという思いがあります。教師たちからは「挑戦することの重要性を伝えてほしい」という要望が寄せられましたが、複数のクラスで外部講師を招く機会が限られており、この課題を解決することが求められていました。そこで、SPOT TEACHERが導入されたのです。
近年、日本では後継者不足問題が深刻化しています。廃業を余儀なくされる企業が増える中で、地域の技術や文化をどう受け継いでいくかが重要な課題となっています。そこで、若手経営者の講演を通じて、挑戦と継承というテーマを子どもたちに伝えることが意義あると考えました。
授業の内容
授業は90分の総合学習として、キャリア教育や家庭科、社会科を融合した内容で展開されました。林田さんは、廃業寸前の老舗を「赤の他人」として引き継ぎ、経営を再生させた経験を語り、「働くことは他者を楽にすること」だと教えました。このようなメッセージは、子どもたちに刺激を与え、挑戦への一歩を踏み出す勇気をもたらしました。
続いて、江越さんは新商品の開発や海外展開への挑戦、さらにサステナブルな商品作りについて話し、練り物の歴史や文化の重要性を伝えました。「伝統は守るだけではなく、時代に合わせて変化させることも必要です」との言葉に、子どもたちは真剣に耳を傾けました。
試食と商品開発ワーク
また、試食の時間も設けられ、子どもたちは林田さんの無添加蒸しかまぼこや江越さんの揚げつみれを楽しみました。味の違いに敏感になりながら、自らの評価を行いました。さらに、商品開発ワークでは、「担任の先生が本気で喜ぶ商品を作ろう」というテーマのもと、チームごとにアイデアを出し合い、ターゲット設定やデザインを考えるプロセスを経験しました。多様なアイデアが飛び交い、子どもたちは「価格=価値」の視点を自然に学ぶことができました。
アンケート結果と感想
授業後のアンケートにも多くの感想が寄せられ、「挑戦する勇気をもらえた」「伝統を守る仕事の意味を知った」などのポジティブな意見が目立ちました。参加した教師からは、子どもたちが仕事の責任感や誇りについて考える良い機会になったとの声も聞かれました。その中で、林田さんと江越さんの話が子どもたちの心に深く響いたことを実感しました。
このような機会を通じて、子どもたちは未来に対する希望ややる気を持つことができたに違いありません。今後もSPOT TEACHERとして、各地の学校と企業をつなぎ、子どもたちに質の高い教育体験を提供し続けるつもりです。地域の未来を担う子どもたちを応援する活動は、教育界の中でもとても重要な取り組みといえるでしょう。