ミドル・シニア人材の転職事情
近年、45歳以上のミドル・シニア人材の転職活動が活発化しています。株式会社プロフェッショナルバンクのHR研究所が行った調査によると、転職希望者の中で即戦力としての役割を果たそうとする人々の意欲が顕著に現れています。今回は具体的なデータをもとに、ミドル・シニア人材の転職活動の実態を掘り下げます。
調査概要
今回の調査は2025年の7月に実施され、45歳以上のビジネスパーソン331名が対象となっています。使用された方法はインターネット調査で、回答者は転職活動を経験した方々です。
増加傾向のミドル・シニア転職者
総務省の労働力調査によると、45歳以上の年齢層における転職者数は増加しています。この世代の転職希望者がどのような思いや動機で活動しているかが気になるところです。かつては「35歳転職限界説」が流布していた時代とは打って変わり、現在の企業は年齢に対する評価が柔軟になっている様子が伺えます。
企業への貢献意識
調査の結果、ミドル・シニア人材が企業に貢献できると考える要素のトップは「即戦力として高度なスキルや経験の発揮」であり、44.4%の人がこの回答を選びました。続いて31.4%が「管理職としての組織マネジメント能力の発揮」を挙げています。これらの結果から、彼らが企業の成長をサポートする姿勢が強いことがわかります。
転職の動機
転職の理由については「経験・スキルのさらなる活用」が58.3%と最多であり、続いて「年収や待遇の向上」が47.1%、「長期的な就業環境の確保」が41.4%という結果でした。全体的に、ミドル・シニア人材は自身のスキルを最大限に活用しようとしていることが見受けられます。
転職活動の初期フェーズの苦労
転職活動の初期段階では書類選考の通過率が低く感じられる回答が多く見受けられました。ただし、「特に苦労はしなかった」とする人もおり、意外にも良好な実感を持っている層も存在するようです。この点から、年齢に対する偏見が薄れてきかつあることが示唆されます。
求人数の紹介
転職活動において、回答者の70%以上が「想定以上」の求人数の紹介を受けたと答えています。この結果からも、ミドル・シニア層に対する需要が高まっていることが読み取れます。
企業評価
企業からの評価についても調査しました。回答者の過半数が「高い評価に感じた」と回答し、転職活動全体を通じて、企業側からの評価の変化を感じていることが示されました。
年収の変化
ミドル・シニア人材が転職した際の年収変化は、約44%がアップしたと感じている一方で、年収がダウンしたという回答者もおり、変動があることが判明しました。
転職意欲
調査結果によると、約80%のミドル・シニア人材が「希望の叶う企業があれば転職したい」と回答し、積極的な転職意欲が見受けられます。たとえ年齢が高くなったとしても、彼らはより良い職場環境を求める姿勢を貫いているようです。
まとめ
今回の調査を通じて見えてきたのは、ミドル・シニア人材が持つ豊富な経験とスキルが、企業においてどのように活かされるかという新たな視点です。年齢を重ねることがマイナスとならず、むしろ価値が増していく時代が到来していると言えるでしょう。「人生100年時代」とされる今、今後も企業側においてこの世代の人材をどのように活用していくかが大きなテーマとなるでしょう。