ガザに生きる声を届ける
2024年12月3日、株式会社河出書房新社から、パレスチナの詩人であり、活動家でもあったリフアト・アルアライールが編纂した作品集『物語ることの反撃 パレスチナ・ガザ作品集』が刊行される。この作品集は、ガザに住む若手作家たちが過酷な現実の中で目の当たりにしている出来事を描いたものであり、強いメッセージを伝えている。
リフアト・アルアライールの生涯とレガシー
リフアト・アルアライールは1979年にガザで生まれ、ガザ・イスラーム大学で英文学を教えていた。彼はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで修士号を取得し、マレーシアプトラ大学で博士号を取得後、教育と執筆に専念した。彼の作品は、国家の抑圧、個々の物語、そして希望をテーマにしており、特に言葉を力に変えることの重要性を訴えていた。残念ながら、2023年にイスラエル軍による攻撃で44歳の若さで命を落とした。彼自身の体験をもとに、ガザの真実を世界に伝えるべく尽力した。
物語ることの反撃
本書は、2013年に英語で編まれた『Gaza Writes Back』の全訳であり、リフアトの死を悼む形で日本語版が出版されることとなった。この作品集は、ガザでのジェノサイドに対する抵抗の証言を集めたものであり、失われた記憶を取り戻すための大切な一冊となる。
収録作品には、物語を通じて語られるガザの人々の日常や闘いが描かれている。家族を失った父親や、爆撃の恐怖に怯える子供たちの声が響き、これらの体験は強い感情を引き起こす。彼らがどのようにして耐え、なおも想像力を働かせることで新たな現実を立ち上げようとしているのか、それを考えさせる内容になっている。
終わらない抵抗の声
作品集には、リフアトの他にも14名の作家の言葉が収められているが、その中で6名とは連絡が取れない状況が続いている。残されている彼らの声は、あらゆる形での抑圧と苦しみからの抵抗を象徴している。彼らの物語が人々に届くことで、ガザという地での過酷な現実が少しでも理解されることを願っている。
読者へのメッセージ
『物語ることの反撃』は、ただの文学作品ではなく、パレスチナの人びとの生の証である。この本を手に取ることは、彼らの物語を聞き、彼らの苦しみを理解する第一歩となるだろう。リフアト・アルアライールが生涯をかけて描いたガザの現実を、ぜひ多くの人に知ってもらいたい。
この作品集を通じて、AIの助けを借りてではなく、私たち自身が自らの目で彼らの声を吟味し、それを声に出して伝えていくことの大切さを再認識してほしい。私たちがその声を届ける責任を持っているのだから。
本書は、現代アラブ文学の貴重な一部であり、その重要性は今後ますます高まることでしょう。ガザのことを知り、多様な声に耳を傾けることは、私たちの未来に光をもたらすことでしょう。