東北の労働幸福度を考察する調査結果
東北はたらく幸せ研究所(通称:はたラボ)では、東北地方の労働環境における幸福度を明らかにするための調査を実施しました。この「東北はたらく幸せ調査2025」では、20代から60代の雇用者を対象に、はたらくことの幸せと不幸せについての実態を分析しました。今回はその結果と、今後の展望について詳しくお伝えします。
調査の背景
東北地方は、豊かな自然や伝統文化が魅力ですが、同時に高齢化や人口減少といった地域特有の課題にも直面しています。企業や団体は人材確保や生産性向上に取り組む必要性が高まっており、働く人々の「ウェルビーイング」や幸福感が注目されています。実際、幸福感が高いと企業の定着率や生産性向上に寄与することが近年の研究で示されています。しかし、東北における「はたらく幸せ」に特化した調査はこれまで行われておらず、データ不足の状況でした。
調査概要
本調査は、東北6県および首都圏の雇用者から集めた700件の有効回答に基づいています。調査は2024年9月13日から16日の間にウェブ上で実施されました。結果として、東北における「はたらく幸せ」と「不幸せ」の傾向が明らかになりました。
調査結果の主なポイント
1. はたらく幸せのポジティブな影響
調査結果によると、東北でも「はたらく幸せ」は挑戦志向や職務に対するエンゲージメントに良い影響を与えることが分かりました。これは自らの仕事に意欲的に取り組む姿勢を促進し、有意義な業務体験を実現する要因となります。
2. 地域差による不幸せの傾向
東北6県内では「はたらく幸せ」と「不幸せ」に大きな差異は見られませんでしたが、首都圏と比べると東北の不幸せ度は高いことが分かりました。不幸せを高める要因としては、特に「理不尽」や「協働不全」といった人間関係に起因する問題が挙げられています。
3. 世代間の違い
興味深いことに、はたらく幸せは20代と60代で高い一方で、30代と50代では低めの傾向がありました。特に、管理職や中核メンバーとして活躍する層が厳しい状況にあるという実態が伺えます。
4. 不幸耐性の存在
調査結果はまた、東北の人々が不幸な状況にあるにもかかわらず、挑戦や周囲への貢献行動に取り組む「不幸耐性」も示唆しています。この「我慢強さ」や「根気強さ」は、東北人の特性であると言え、困難を乗り越える力を持つことが強調されています。
調査結果の活用と今後の展開
この調査結果は企業や自治体において、従業員の定着や雇用環境改善の基盤データとして活用されることが期待されています。企業は人員理解やエンゲージメント施策に活用できるほか、地域経済の活性化に向けた施策の設計にも貢献するでしょう。
また、今後は地域企業や自治体との対話や勉強会を通じて、継続的な調査を進めていく方針です。
さらに、はたラボは「東北はたらく幸せ白書」の形で定期的に結果を発信することを目指しており、共催・後援をしてくれる団体も募っています。
加えて、11月21日には「東北・人事リデザインプロジェクト」がカンファレンスを開催し、調査結果の一部が紹介される予定です。
まとめ
この調査は、東北におけるはたらく環境の現状をデータに基づいて示す初めての試みであり、今後の施策や方針に多大な影響を与える可能性があります。「はたらく幸せ」を高め、地域社会をボトムアップで活性化するために、さらなる取り組みが期待されます。