常石造船、環境を配慮した新たな船舶を進水
2025年7月17日、常石造船株式会社のフィリピン・セブ拠点で、世界初のメタノール二元燃料ばら積み貨物船KAMSARMAXが進水しました。これは、持続可能な海運業を志向し、環境への負担を大幅に軽減することを目的とした画期的な船舶です。
メタノール燃料の特色
本船は、メタノールを燃料として使用することにより、従来の重油と比べてさまざまな大気汚染物質の排出を大幅に削減できます。具体的には、窒素酸化物(NOx)を最大約80%、硫黄酸化物(SOx)を約99%、さらに二酸化炭素(CO₂)を最大約10%削減できるという成果が期待されています。さらに、グリーンメタノールを使用することで、脱炭素化の動きにも寄与します。このように、環境問題に真正面から取り組む姿勢が評価されています。
KAMSARMAX型船の特徴
KAMSARMAX型船は、常石造船が長年にわたって培ってきた技術の集大成ともいえる存在で、既に400隻以上が竣工。特に、この船型は浅喫水設計を採用しながらも、エアドラフトも抑えられているため、多くの主要港へのアクセスが可能です。全長229メートルのこの新型船は、ギニア共和国のカムサール港にも着岸できるため、汎用性にも優れています。
瀬戸社長のコメント
THI社長の瀬戸靖明氏は進水式に際し、「本進水式を迎えられたのは、全てTHIの従業員の努力と高い技術力のおかげ。安全性、安定性、持続可能性という三つを基本理念とし、今後も革新と環境への配慮を重視していく」と述べています。また、常石造船は今後も持続可能な未来を目指し、造船業界でのリーダーシップを発揮する企業を目指して取り組み続けることを宣言しました。
常石造船の紹介
常石造船株式会社は、1917年に創業し、広島県福山市に本社を置く造船会社です。国内外の工場でばら積み貨物船やタンカー、コンテナ運搬船など、多彩な船舶を手がけており、特に環境に配慮した船舶の開発にも積極的です。近年、国際的な環境基準の厳格化を背景に、メタノール燃料を採用した船へのニーズが高まっており、常石造船はこの産業の未来を切り開く存在として、大いに期待されています。
まとめ
常石造船によるメタノール二元燃料KAMSARMAXの進水は、環境への配慮が進む海運業における重要なステップです。この新型船の役割が、持続可能な海運業の実現に貢献することを期待しています。THIは今後も、社会と環境に配慮した取り組みを続け、次世代に誇れる価値を提供していくことでしょう。