科科学と伝統の融合:芭蕉布研究の最前線
沖縄の伝統工芸品、
芭蕉布が再評価されています。風合い試験機の製造で知られる
カトーテック株式会社は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と協力して、芭蕉布の特性を科学的に探求するプロジェクトを進めています。このプロジェクトでは、改良型「
FR07サーモラボ」を使用し、芭蕉布の「涼しさ」を数値化すると共に、その理解を深めることを目指しています。
芭蕉布とは?
芭蕉布は、琉球王国時代から伝わる伝統的な布地で、
イトバショウというバナナの仲間の繊維を用いて作られます。この布は非常に軽く限りなく薄いため、夏に最適な素材として愛されています。これまで、上流階級の人々が特にこの布を好んで着用していたという歴史的背景もあり、今日では尚且つ多くの着物愛好家の間で人気です。
芭蕉布の涼しさは、この地域の高温多湿な気候において非常に重要な特性とされています。
研究の意義と内容
この研究は、【涼しさ】という概念を科学的に捉える画期的な試みです。OISTの野村陽子博士を中心に、どれだけ涼しいのか、そしてその涼しさがどのように実現されているのかを解明するため、一連の測定が行われています。特に高湿度な環境での「冷感」を正確に測定するため、改良型FR07サーモラボが用いられています。この装置は、濡れた布に対しても対応できるように設計されているため、実際の使用感に基づいた評価が可能です。
FR07サーモラボの機能
FR07サーモラボは、布が持つ熱吸収特性を高精度で測定するための試験機です。人が物に接触した際に感じる温度変化のピーク値を測定し、そのデータを使って「冷たさ」や「温かさ」を評価します。特に高温高湿度の環境下での測定が可能なので、沖縄の夏を再現した条件下での研究が進行中です。この研究から、今年の夏に向けての衣生活への新たな提案も期待されています。
カトーテック株式会社の役割
カトーテックは、1962年に創業以来、精密加工技術に基づく試験機の製造を行ってきました。特にKES®という風合い試験機は、世界的に知られる製品へと成長し、50ヵ国以上で使用されています。今回のプロジェクトは、その技術が沖縄の伝統文化に寄与する新たな試みでもあります。
まとめ
地球温暖化が進行する現代において、涼しさを科学的に解明し、その実用化に向けた動きはとても意義深いものです。沖縄の伝統的な技術と現代の科学が融合することにより、これからの衣生活に新たな選択肢を提供することが期待されています。
南国の伝統的な布、芭蕉布の研究が今後どのような進展を遂げるのか、注目が集まります。