アレルギー犬の健康を守る新しいドッグフード
アレルギー性皮膚疾患に悩む犬に対して、フリーズドライ製法のドッグフードが有効であるかどうかを検証する実験が行われました。対象とされたのは、かゆみがありアレルギー性皮膚疾患が疑われる1歳以上の犬33頭。これらの犬には、鶏、鹿、馬、魚の4種類のフリーズドライドッグフードが1週間ずつ与えられ、その効果が観察されました。
1. 実験の方法
実験は約4週間にわたって行われ、各犬には事前に設定された給与量が与えられました。この給与量は体重や年齢、活動量に基づいて計算されています。また、給与前と給与後の犬の状態を確認するために、かかりつけの獣医師による診察が行われました。かゆみと皮膚の状態は、PVAS評価法を用いてスコア化されました。
2. 獣医師の評価
獣医師による診察では、給与前に比べてかゆみスコアや皮膚症状重症度スコアが有意に減少したことが確認されました。具体的には、かゆみスコアは0(かゆみなし)から10(非常に重度なかゆみ)までの中での変化があり、全体の56.7%が「改善」または「やや改善」との結果です。これにより、大半の犬が問題なくフードを食べられることが示されました。
3. 飼い主の体験
飼い主による評価も非常に重要です。毎週、飼い主は犬の食欲、皮膚症状、便の状態、かゆみスコアを記録しました。その結果、2週間後からはかゆみスコアが有意に減少し、嗜好性に関するアンケートでは42.4%の飼い主が普段のフードよりも良いと評価しています。
4. なぜフリーズドライ製法なのか?
ドッグフードには「療法食」と呼ばれるものがあり、アレルギー疾患用のものは症状を抑える効果がありますが、しばしばたんぱく質が制限されていることが課題です。そこでフリーズドライ製法に着目した理由は、たんぱく質の消化率が高く、腸内環境を改善できるからです。アレルギー性疾患は腸のバリア機能が影響を及ぼすことが多く、最近では腸内環境が重要視されています。
5. 研究の目的と展望
この研究の目的は、アレルギー性皮膚疾患を持つ犬がフリーズドライ製法のドッグフードを安全に食べられ、その結果、皮膚症状が悪化しないことを確認することです。研究の担当者である金子いづる獣医師は、これからも飼い主に正しい情報を発信し、ペットの健康を守るための研究を続ける意義を強調しています。
6. まとめ
フリーズドライ製法のドッグフードは、アレルギーに悩む犬たちにとって新たな希望となる可能性があります。飼い主や獣医師の評価も高く、効果的な選択肢として注目されることでしょう。今後もこれらのフードが多くの愛犬家に利用され、犬たちの健康が向上することを願っています。